最近、日本のテレビやメディアにもよく取り上げられている、深センの日本人経営電子機器工場 JENESIS(创世讯联科技深圳有限公司)をご存知ですか?
この会社、本当にすごい製品を連発して、日本でもよくニュースになっています!360度カメラやロボットの家事支援サービス(主婦の味方!)、またスマートフォンの操作で鍵が開く「bitlock」などを手がけて話題になりました。他にもカラオケボックスの注文端末やタクシー会社の後部座席ディスプレイ、スマートフォンやタブレットの画面など、みなさんが日常で使っている機器も、もしかしたらJENESIS製かもしれません。
また、JENESIS 創業者の 藤岡淳一さんは日本の経済産業省や、日経をはじめとする各メディアからの講演依頼も度々行われていて、深センで成功している日本人のお手本として、日本企業に対する様々なアドバイス・警笛を伝えておられます。
そんな、飛ぶ鳥を落とす勢いのJENESISが、この度 深セン宝安区内に新しく工場を拡張移転したとのことで、さっそくお邪魔させていただきました。また藤岡さんは単独インタビューにも快く応じてくださいました!
目次
JENESISとは?
正式名称は、創世訊聯科技(深圳)有限公司 (英文名:JENESIS(SHENZHEN)CO.,LTD.)といい、新工場の敷地総面積は約3,300平米、社員数約130名 で稼働しています。
手がける製品は主に日本企業向けで、タブレット・スマートフォン・VRデバイス(ヴァーチャル・リアリティ…ゴーグルのように装着して画面を見たりするやつです)・AIロボット・IoTデバイス(インターネットを活用した機器のこと。例えば先ほど記載したスマートフォンの操作で鍵が開く「bitlock」もその一つ)といったスマートデバイスをたくさん開発・製造しています。
深センは、ドローンやスマートフォンを使った様々なアイデア商品などが次々と開発されていますが、それは部品の調達・設計・試作品の作成・商品化までをすべてここ深センで行うことができるからなのです。
しかし!
日本人が新しいアイデアを持って商品を作ろう!と深センに来ても、言語の壁に当たります。また、中国にある様々な工場や会社にアプローチをかけても信頼関係の面でうまくいかなかったり門前払いにされるケースも。
そんな日本のスタートアップの方々を助けてくれるのがこのJENESIS。大手工場で断られたほとんど儲けにならない製造も支援しているのだそうです。
ではさっそく!工場内部を見学してみましょう。
工場内部
設計室
まず案内されたのが、設計室。工場というと製造機械のみがあるイメージですが、ここで様々な設計を行ない、プロトタイプも作ってしまうのだそうです。
倉庫
検品ルーム
部品受け入れ検品ルーム
信頼性実験室
様々な種類のテスト機が並んでいます。
この静電気耐久テスト機、すごく高価だそうです。信頼性を確保するために多大な投資を行なっているのがうかがえます。
メインルーム
いよいよメインルームです!
…と、その前に
清潔さを保つため、ビニール袋をかけなければなりません。
全体図はこのような感じ。
防塵室
塵のない環境で、入念にホコリを取ります。
連続通電試験ルーム
長時間通電させて、耐久性をテストしています。圧巻です!
最終検品
梱包・キッティング
一般的には、安い中国製品の品質は悪い、すぐ壊れる、といった印象を持ちがちですが、印象的だったのが、社員一人ひとりが真剣な品質チェックを行なっているということ。
防塵室での細かなホコリ除去/耐久性テスト/入念な検品チェックなどなど、少し写真でもご紹介しましたが、これは一度目で見て確かめないとすごさは伝わりません。
また、別棟には社員寮や食堂も完備し、他の工場よりはるかに高い手当で社員の方々をすごく大事にされている様子も伝わってきます。
JENESIS 創業者 藤岡淳一さん インタビュー
深センと、日本の町工場との違い
ーよく日本の町工場と深センを比較されることがありますが
日本の町工場は、長年職人が自動車や家電部品などを製造してきました。
一方で、深センは「ハードウェアスタートアップ」と言われる会社がBluetoothやwifiを活用した一体型の商品を製造します。これはそもそもが異次元の話なので比較にならないのです。
ーなるほど!これは気づきませんでした。
例えば、日本で同じことをやろうとすると、お金も時間もかかります。何千万もかかるわけです。
でも深センなら、金型込みでソフトウェア開発のノリでハードウェアも作れるのです。
ー全然違いますね!
深センには、労働力がない?
ー工場を拡張されて、本当にたくさんの方々が働いているのをお見かけしました。
でも実は、深センは労働力がないんです。
ー労働力がないんですか!?人が多い印象を受けますが…
人はいてもブルーカラーが少ないんですね。外卖(フードデリバリーサービス)などに流れているのが現状です。そして人件費も上昇しています。
ーそうなんですね。(私も外卖はよく使っています。本当にたくさんの人がこのデリバリーを活用しています)今後の展開はどうなっていくのでしょうか?
まず、今の社員を大事にしつつ、自動化できるところはどんどん自動化していきます。
しかしやはり、深センの強みはサプライチェーン(原材料の調達から販売までの一連の流れ)があることですね。工場の場所も、ホワイトカラー(寮を使わない)社員との利便性・バランスを考えました。
深センは、BYD(電気自動車のメーカー。深センを走る電動バス・タクシーはこのBYD社製です)・DJI(世界的に有名なドローンの会社)・TENCENT(騰訊)・ファーウェイ(HUAWEI)といった、とがった会社が政府のバックアップを受けて伸びていくんです。
また、中国はfacebookやGoogleが繋がらないからここまで伸びてきた、という側面もあります。
今HUAWEIとアメリカとの関係がよくありませんが、ここであまり締め出してしまうと、今後もっとすごいものを作るかもしれませんよ!
非常に多忙な中お時間を取ってくださり、また丁寧な説明もしていただき本当にありがとうございました!
あまりこの手の分野に詳しくない方も、一見の価値ありです!多分見方が変わると思いますよ!
4月度オープンデイは、4月15日に開催!
実は、JENESISさんは定期的にオープンデイを開催していて、誰でも無料で工場を見学できるのです!次回は4/15(月) 16:00 に開催されますが、次回のオープンデイはなんと、テレビ・メディアによく登場される東京大学准教授 伊藤 亜聖先生や、今注目のベンチャー企業「Swie」CEO Ben Zhai氏など豪華ゲストの登壇も予定されています。
工場では、毎日違う部品で違うものを作っているのだそうです。何度来ても飽きないこの工場見学、深セン在住の方も、学生の方も、旅行で来られている方も、この機会に参加してみるのはいかがでしょうか?
申し込み方法(超簡単!)
以下のFacebookページのリンクから
「参加予定」にチェックを付けてください。これだけです!
アクセス・ロケーション
住所:深圳市宝安区留仙三路1号
润恒鼎丰产业园
最寄駅:地下鉄5号線「兴东」駅 A出口 徒歩15分
4/15のオープンデイは、Shenzhen Fanも参加いたします。皆様にお会いできるのを楽しみにしています!