2019年7月1日、上海市でゴミ分別管理条例が正式に施行されたというニュースが流れて話題になりました。深センでも分別用ゴミ箱が設置され始めていますが、実際のところどこまで進んでいるのでしょうか?
いくつかのソースを元に、2019年7月現在の深セン市内のゴミ分別事情をお伝えします!現在は4段階計画の第2フェーズに入っているとのこと。
(分別に関する最新のパンフレットも記事後半に添付してあります)
目次
ゴミ分別の変遷
条例が施行された上海では、ドローンを使って近隣住民の家にゴミを投げ入れた人がいたり、ゴミ分別に自信が持てないため上海への旅行を取りやめた人がいる等、様々な報道が飛び交っていますね。
2016年12月以降加速
2016年12月、習主席は中央財経指導小組会議の席で、ゴミの選別・廃棄・回収・輸送・リサイクルを分類・管理する体制を迅速に確立することを強調し「ゴミ分類に関する国民の意識を高めるために、広範な教育・指導プログラムを実施すべき」と述べたそうです。それ以来、中国の多くの都市でゴミ選別システムの導入が加速しています。
実は、深センは2000年に廃棄物の選別を実施した中国最初の都市の一つでした。しかし、市の埋立地は現在過負荷で、処理能力が不足している状態なのだそう。廃棄物の増加に追い付くことができていません。
深センの計画は
深センは現在、4段階計画の第2フェーズに入っているとのこと。
第2フェーズ!?気になりますね。少し詳しく見ていきましょう。
2018年8月に、以下のような報道がありました。(ソース:Shekoudaily、オリジナルのソースは「深圳大件事」)内容をピックアップしますと…
Nanfang Metropolis Daily紙によると、過去10年間に深センで発生したゴミの年間量は約6%増加し、市内の代表者は解決策を探している。現在、発生するゴミの量は700万トンを超えています。市の埋立地は現在過負荷で、処理能力が不足している。
ちなみに、上海市のゴミの量は年間900万トン超とのことですが、このまま年間6%ずつ増えると深センも5年後に900万トンを超える計算になります。
深センでは、(2018年の時点で)16の家庭廃棄物処理会社、4つの厨房廃棄物処理会社、5つの焼却施設、3つの埋立地がある。しかし、そのどれも処理能力が不足している。
記事内では家庭廃棄物のリサイクル率の低さも指摘されています。確かに分別をしっかりしてリサイクル率を上げればゴミの量は減りますよね。これは急務です。
深圳市人民大会の代表者はゴミ削減について話し合い、計画を立てました。市管理課の担当者は、廃棄物のゴミ処理料を導入する計画を明らかにしました。
深セン市住宅建設局は、「もし(ゴミ分別に)協力しない市民がいるなら関連部署と協力してブラックリストを設定する。つまり、ゴミ分別を行わないと列車の切符や航空券を買うことができなくなる可能性があります」と述べました。
ゴミの有料化。そして協力しない人にはペナルティ…アリババの信用スコア「芝麻信用」みたいなシステムなんでしょうかね。(あ、もしかして芝麻信用と連携するとか…?)
4段階計画
ゴミ分別計画の実装ステップは、以下の4段階。
深セン都市管理局は2018年の時点で、市内の住宅地の約30%で4段階のフェーズ2を実施中でした。
(深圳蛇口エリアのスタッフによると、フェーズ2も近いうちに完了するだろうとのこと)
フェーズ1:地域内にゴミ選別施設を設置
フェーズ2:一箇所に集中管理した施設で全てのゴミを回収(ビル内のフロアにゴミ箱を置かない等の対応)
フェーズ3:手洗い場の設置+毎晩19時30分から21時30分の時間帯にゴミ収集+ビデオ監視
フェーズ4:監視装置の導入、違反者へのペナルティ実施
フェーズ4では、住民は適切にリサイクルできない廃棄物に対して支払いを行います。
スマートゴミ分別回収機「小黄狗」
ゴミ問題を解決するのに大きく期待されているのが、この機械。
別記事によると(中国語版はこちら)、「スマートゴミ分別回収機」というものが中国各地に設置され始め、適切にリサイクルを行うよう住民を促しています。
これは「小黄狗」(xiao huang gou)と呼ばれるスマートゴミ回収装置で、ゴミを回収したらお金がもらえるというシステム。
まず「小黄狗」アプリをダウンロードします。
捨てるゴミのタイプを選択すると回収口が開き、ゴミを入れると換金額が表示されて専用アプリに金額が溜まる仕組み。
この回収機によって、ゴミの量が30%削減されることが期待されているのだそう!
アプリには、地図上のどの位置にリサイクル装置が置かれているか表示されます。現在深センには31台あるようですね。
(东莞市の方が多いのは恐らく「小黄狗」の本社が东莞にあるから)
インセンティブも
他にも、こんな取り組みもされています。
先週、深圳市政府党グループは、リサイクルプログラムに積極的に関与している個人/家族に支払うインセンティブ(1,000元ー2,000元)のために、年間3,125万元を確保することを計画している。
インセンティブ、いいですね。しかも1000ー2000元ってけっこうな額ですよね。
インセンティブとペナルティ、これは効果あるかも。
最新の深圳市ゴミ分別パンフレット
深センの分別パンフレットは以下の通り。(紙からスキャンしたので少し歪んでいますが…)
上海では、4種類(資源ゴミ・有害ゴミ・生ゴミ・その他(乾燥ゴミ))に分別していますが、
深センでは7種類(有害ゴミ・ガラス/金属/プラスチック/紙ゴミ・台所(生)ゴミ・家具(粗大ゴミ?)・植物ゴミ・衣類ゴミ・その他ゴミ)のようですね。
(4種類のみの上海でも大混乱という報道を聞くと一抹の不安がありますが…)
代表的なゴミの分別例が書かれてあります。
それぞれのゴミがどのように運ばれて処理されるのか説明されています。こういった説明は大事ですね。
そして、適切に処理をしなければ50ー100元の罰金、会社のペナルティはもっと高くて2000元ー5000元の罰金、収集会社は1万元の罰金と記載されています。
当パンフレットは、先日オープニングイベントが行われた「南山国际化交流中心」(Nanshan International Cultural Exchange & Service Center) で入手することができます。
いつから施行?
具体的な日付はスタッフにも分からないそうです。少なくとも2020年までには実施される見込み。
上海が7月にスタートしたので、そう遠くない時期に深センでも本格的な分別が始まるんでしょうね。
深セン在住の方は今のうちに当資料を読んで把握しておくことをお勧めします!
去年(2018年9月)に、Shenzhen Fanでは日本のゴミ分別事情について関係者に講演しましたが、その時点でゴミ分別は本格的にプロジェクトが進んでいたようです。
日本で(割と)ゴミ分別がしっかりしているのは、近所の目や几帳面な性格の人やルールを守る人が多いこと…などが挙げられますが、
性格も文化も違う中国人に分別の意識を持ってもらうために一気にトップダウンでインセンティブとペナルティを与え、監視しながら進めるこのやり方は効果がありそうですね。
そして「スマートゴミ回収機」のようなAI/IoTを活用した最新の技術も出てきていますし、これによって一気に街が綺麗になるかもしれません!