毎年OCT-LOFTにて開催される大規模な公共アートイベント「OCT-LOFT Public Art Exhibition」が、今年もついに開催です。
例年は5月開催のこのイベント。2020年は新型コロナウイルスの影響で4ヶ月延期されましたが、今回のテーマは深センでも本格施行された<ゴミ分別>というタイムリーなもの。日本人のアート作品も披露されています!
2019年のOCT-LOFT公共アートイベント記事はこちら
目次
- 1 2020 OCT-LOFT公共アートエキシビジョン 公共艺术展
- 2 作品例
- 2.1 柏志威 Perry Bai|中国
- 2.2 Cempaka Surakusumah |インドネシア
- 2.3 島津冬樹 Fuyuki Shimazu|日本
- 2.4 金善珍 Kim Sunjin|韓国
- 2.5 MarkRobla|イギリス
- 2.6 Rafał Górczyński|ポーランド
- 2.7 Rumpaporn Vorasiha |タイ
- 2.8 UMMM/KIWI |日本
- 2.9 张有魁 Youkui Zhang|中国
- 2.10 阿祖 A Joy|中国
- 2.11 孔武 Wu Kong|中国
- 2.12 李燎 Liao Li|中国
- 2.13 刘志炼 Zhilian Liu|中国
- 2.14 陆慎一 Shenyi Lu|中国
- 2.15 彭白云 Baiyun Peng|中国
- 2.16 谢克非 Kefei Xie|中国
- 2.17 曾军 Jun Zeng|中国
- 2.18 张博(Bo Zhang) & 王晶晶(Jingjing Wang)|中国
- 3 展示期間・場所
2020 OCT-LOFT公共アートエキシビジョン 公共艺术展
2020 OCT-LOFT公共アートエキシビジョン 公共艺术展は、深圳华侨城创意文化园主催のもと、Shenzhen Fringe Art Center(深圳市前沿艺穗艺术中心)キュレーター朱德才(Eric Zhu)氏が中心となって開催されます。
場所はOCT-LOFT北区C2展示ホール。展示は4つのセクション(材料美学、价值再生、景观重置、艺术开源)で構成されます。
テーマ:<余物新秩序 Trash New Order>
今年のパブリックアート展では、「余物新秩序 Trash New Order」をテーマに、放棄され忘れられた「余物」を芸術的に表現したもので、国内外から19グループのアーティストを招待して制作されました。
オープニングパフォーマンス
オープニングでは、参加者招待型のサウンドパフォーマンス《余物之歌》(Sound Recycling)が行われました。これは捨てられた「ゴミ」を利用して楽器を作り出し、即興で集団コンサートを形成したもの。著名なクロスメディアアーティストによる作品なのだそう。
かつてのゴミが新しい役目を持って生まれ変わります。
材料はすべて深センから
過去の作品との大きな違いは、今回展示されるすべての作品が、過去5か月に深セン内から集められた不要品なのだそう。実にその数10,397個! 。
チーム・ボランティアによるパブリックアート作品
展示作品は様々なチーム・アーティスト・ボランティアにより共同で制作されました。そのため出来上がった最終的な作品は、クリエイター自身の創造的な成果ではなく、さまざまなチームや人々の参加の結果なのです。真のパブリックアートが完成しました。
また、展示会が終了しても、これらの展示物は「ゴミ」にはならず、永久的なコレクションのためにアーティストのスタジオに戻され、専門の機関に送られリサイクルされるか、他の展示会活動で再利用されるのだそう。エコ!
作品例
では早速、代表的な作品を見てみましょう。
柏志威 Perry Bai|中国
《咖啡永续》Coffee Vessel
コーヒーショップでは、最も一般的なコーヒーかすとコーヒー豆の包装袋が最も一般的なゴミとなります。
中国のアーティスト柏志威 Perry Baiは、この2つを融合したアート作品を作り上げました。
コーヒー豆の包装袋とコーヒーかすを使いたリサイクル花瓶。配置もおしゃれです。
Cempaka Surakusumah |インドネシア
《近点,再近点》 Look Closer
この作品は、インドネシアのバンド「Efek Rumah Kaca」の<Hijau>(緑)と呼ばれる曲からインスピレーションを受けています。
遠くから見ると、幾何学模様の美しい色とりどりの樹脂ブロックが並んでいますが、近づいてみると慎重に設計された樹脂ブロックにさまざまなプラスチック片が浮かんでいるのが見えます。
消費者による廃棄物や汚染、プラスチック廃棄物処理と製品パッケージの環境への影響を考えさせるものとなっています。
島津冬樹 Fuyuki Shimazu|日本
《纸皮屋》House of Carton
日本のアーティスト島津冬樹さんによる作品は、廃段ボールから。
深センで毎日使われる段ボール箱やビニール袋を用いて紙の家を建てたのだそう。
金善珍 Kim Sunjin|韓国
《珍藏密敛》 Hidden Treasure
この作品では、人々が捨てたペットボトルを集めて、最終的に巨大な「宝石」を作り上げました。価値のないものとして捨てられたものを価値のあるものに作り上げる。興味深い作品です。
MarkRobla|イギリス
《失落垃圾桶》Down in the Dumps
イギリスのアーティストMarkRoblaは2作品を提供しています。ゴミ箱に頭を入れている男性を表すパブリックアート。それを見て人々がどんなことを思うか(行動するか)試すものとなっているのだそう。
《余物之丘》Perilous Wide Waste
ゴミがどこに捨てられるのか多くの人々は気づいていません。無意識のうちに埋め立て地と海はプラスチック、ゴミ、布で満たされています。
このプラスチックとゴミの海の島は、ゴミによって引き起こされる害を思い起こさせます。
Rafał Górczyński|ポーランド
《安全地带》Safety Site
この作品は、廃棄された古い布地を大量に使用して人間の安全地帯(Safety Site)を構築しようとするコンセプトに基づいています。
作品の真ん中には「安全地帯」があり、カラフルな色は地球上の多様な文化を象徴しています。
Rumpaporn Vorasiha |タイ
《一件垃圾》A Piece of Trash
当作品はバンコクの深刻な大気汚染問題に触発されたもので、多くのプラスチック製品や廃棄物による大気汚染が人々の健康に影響を与えている様子を表しているのだそう。
UMMM/KIWI |日本
《垃圾 VS. 宝石》VS. DIAMOND
陸上でも海の漂流物でも、捨てられたすべての物体の後ろには隠された物語があり、色や形の物理的な魅力も保持しています。
それらはどこから来たのか、そして誰の持ち物だったのか?
これらの作品は好奇心と想像力を保ちながら日常の中で捨てられた小さなものを集めて加工し、指輪にして、捨てられた素材が新しい価値や意味を取り戻すようにしたのだそう。
根深い偏見など忘れて新しい目で見ると、それは「宝石」でいっぱいになります。
张有魁 Youkui Zhang|中国
《满月》Full Moon
これらはウェディングドレスで作られた大きな月。さまざまな感情や物語がこの月には込められています。
阿祖 A Joy|中国
《椅子会说话》 Talking to the Chair
子供椅子がロッキングチェアに生まれ変わりました。揺れながら子供時代を思い出すことができます。
孔武 Wu Kong|中国
《被关注的价值》The Value of Being Concerned
IKEAの一貫したスタイルは、環境保護の原則に従って、最小限の素材でデザインされた最高の家具を作ること。ラウンジチェアを塗装し、生地にアーティストの作品をプリントしました。
李燎 Liao Li|中国
《对一把陌生椅子的臆断》An Assumption about an Unfamiliar Chair
持ち運びできる誰もが使ったことのある折りたたみ椅子から作られた作品。
刘志炼 Zhilian Liu|中国
《一把凳子的重构》 Reconstruction of a Chair
1本の脚にドラゴンを描いてテーブルを復元したもの。様々な意味が込められているようです。
陆慎一 Shenyi Lu|中国
《无题 2020》 Untitled 2020
時の流れを、映画フィルムの一コマをキャプチャしたような作品。
彭白云 Baiyun Peng|中国
《夜灯》Mariposa
イームズのクラシックなデザインチェアの脚はエッフェル塔を彷彿とさせ、ライトが点滅すると空飛ぶ蝶のように見えます。
谢克非 Kefei Xie|中国
《椅子上的理想国》 The Utopia on Chair
多くの人が理想の国を心に抱いていますが、理想的な状態は現状存在していません。
作品「ユートピア・オン・ア・チェア」は、工業製品と自然のシーンを表現しています。
曾军 Jun Zeng|中国
《错位》Dislocation
この作品では、素材と同じモデルのリサイクルされた3つの椅子を使用し、再切断・解体・溶接後に、互いに支え合う3つの椅子を再構築しています。
誰もが自分の人生で経験する可能性があるさまざまな事故・脱落、そしてそれらから生じるさまざまな結果や解釈に由来しています。
张博(Bo Zhang) & 王晶晶(Jingjing Wang)|中国
《轮回之光》The Light of Regeneration
金属メッシュの椅子を分解し再構築した作品。その結果いくつかの形の照明装置に変わりました。
この作品は、家庭ごみの利用に新たな可能性を与えようとしています。
展示期間・場所
展示期間:2020年9月5日〜10月18日 10:00〜18:00(毎週月曜日休み)
展示場所:深圳市-南山区 华侨城创意文化园(OCT-LOFT)北区C2展示ホール
当展覧会は予約不要で、無料公開となります。
公共の場所では必ずマスクを着用し、「i深圳」と健康QRコードを提示して、現場スタッフと協力して体温測定作業を行ってください。人の流れは管理されているので、入場者数が予想を超える場合は入場を断る場合があります。
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