【吾友コンサル】News Letter 2024/05

深セン・広東省を中心に活躍されている吾友コンサル(吾友咨询)のNews Letterです。

中国人から見た日本の文化、また日本人から見た中国の文化について新鮮な視点で書かれた記事は必見です!

80後、90後の「ジャパンコンプレックス」から企業間文化の学び合いについて

吾友コンサルティング総経理  劉真(Vivian Liu)

中国の「80後」(1980年代生まれ)や「90後」(1990年代生まれ)なら、次の写真を知らない人はいないだろうと思う。

スラムダンク

子どもの頃、私たちはスラムダンクや聖闘士星矢、ドラえもんなど、数々の日本の名作アニメに夢中になっていた。素晴らしいストーリーに美しい絵柄、プラス並み外れているアニメ効果、優れた吹き替えで、日本アニメは長年にわたって世界で愛され続けてきた。

ニンテンドーファミコン

子供時代によくやっていたゲームも日本にかかわる。まだ豊かな時代ではなかったが、誰かの家にニンテンドーファミコン一台があれば、放課後、みんながそちらに集まって、家に帰りたくないぐらい楽しく遊んでいた。『コントラ』、『スーパーマリオブラザーズ』、『バトルシティ』などの名作ゲームは今でも記憶に残っている。

様々な日本製電子製品

過去三十年の間に、さまざまな電子製品が急速に発展してきた。日本製の電子製品は誕生当初からその優れた技術と独特な設計理念で、世界市場で重要な地位を占めている。

すでに高品質の代名詞になっている「MADE IN JAPAN」は非常に魅力的で、全世界でファンが多い。日本製品の良さは日本独自の企業文化を反映している。慎み深く、緻密、品質第一、プロ意識が強く、原価管理と持続的改善を重視する。まさにこのような優秀でユニークな企業文化は日本の近代経済の崛起をもたらし、全世界の注目と研究の焦点になっている。

もし、日本企業の経営管理は慎み深さ、執着、集中力、プロフェッショナルなどの優秀な特質を反映したならば、中国企業のほうは果敢、革新的、柔軟、迅速などの特徴が見られる。前者は静的で、企業発展の「持続性」に焦点を当て、後者は動的で、 「成長性」をより重視し、両者の特徴が極めて鮮明である。

中国企業がこのような文化のもと、数十年の間に、その発展も質的な飛躍とブレークスルーを実現し、中国は「製造大国」から「製造強国」へと徐々に進んできている。フォーチュン誌が2023年に発表した世界トップ500社のうち、中国企業142社が選ばれ、20年前の10倍にもなる。これらの成果は多くの中国人に誇りを持たせた。

日中企業のために長くコンサルティングを行ってきた一「80後」の財務・税務アドバイザーとして、私は両国企業の文化面での著しい違いを痛感している。目まぐるしく変わる情報化時代のもと、個人の愚見だが、企業の持続的な発展を実現するには、「動静結合」、即ち、適切なスピードが不可欠だと思う。中国企業は、目前の功利を急ぐのでなく、日本人のいわゆる「職人魂」をもっと学び、ブランドの構築やメンテナンスにより専念すべきであり、それに対し、日本企業は、細かなことにこだわりすぎて、融通がきかなくなったりしがちだが、より柔軟性を持たせ、効率的に市場の変化に対応していく必要がある。

日中間の交流は唐の時代から始まり、今まで2000年もの歴史がある。グローバル化が加速化している今、隣接しているアジアの二つの大国として、今後、日中企業がお互いにより一層学び合い、長所を取り入れ、短所を補うことで、共に発展していくことを心より期待している。

<特別寄稿>

麻植 

太陽グラントソントン創業メンバー

未来を創る財団  コ・ファウンダー

https://theoutlook-foundation.org/

2001年の深圳市

20数年前、中国の友人に誘われて深圳市に行った。

1978年に始まる産業誘致構想からまだ20年余。日本なら水たまりだらけの新開地のはずだ。

行ってみると、街は、すでに落ち着いた老街の風格があった。

一口に中国3000年の歴史というが、その歴史には深みがある。最近は文字が生まれる前の、夏、殷、周の王朝史よりさらに古い新石器時代の研究も進んでいる。意外なことに、農耕の始まりは、河北の半乾燥地帯。それも万里の長城付近が有力視されている。

文字と歴史

中国史の研究は、文字の研究と二人三脚。世界中から研究されているが、日本の研究者は、多少、有利なポジションにいる。

古文字の分野では、中国でも一目おかれていた故白川静教授。文字の解読だけで、社会情勢、家族構成、王の権威の中身まで分析できた。

最初に中国を統一した秦を引き継いだ漢王朝。漢の時代に中国文字が完成したので、それを漢字と呼んでいる。その文字で漢王朝は、それまでの王朝の歴史「史記」を完成させた。

以来、中国の王朝史は、すべて次の王朝が作ることになった。こうして途切れることなく全王朝の歴史が記録され、世界に類例のない貴重な歴史文献資料となった。中国の人は、歴史と同時に文字を大切にする。文字と記録は中国の、そして歴史の原点だ。

中国人の歴史好きは、単に歴史が好きなのでなく、歴史から学びとる方法を身につけていることである。中國人の友人は、その理由を、お上に政策、民に対策あり、と教えてくれた。

歴史と時間軸

中国人には2つ時間軸がある。

1つは、3000年から学びとる民と王朝の歴史観。もう1つは、変化に素早く対応する超短時間軸。いずれも、歴史に揉まれつつ育んだ民と王朝の文化的遺産だ。長期の時間軸をもっているから、短期の時間軸の方向もブレがない。

京都に、経営の神様と言われた松下幸之助の語録資料を紹介する財団法人がある。                    

松下資料館

https://matsushita-library.jp/

資料館ができたばかりの90年代、見学に訪れる大半の来館者は中国人だった。改革開放宣言から10年余り。手探りで方法論を求めていた。民に対策あり。訪日中の貴重な時間も経営の研究に割く。その姿に打たれた。それから10年後、すでにできあがっている深圳の街並み。その後の、あの超高度経済成長は偶然ではないのだ。

最初の候補地を臨海部に定めたのは、近世、江南が経済成長のけん引役になってきた歴史と無縁ではないだろう。長短2つの時間軸は、歴史で繋がっている。

今月のトピックス

前海における15%企業所得税優遇税率の実施範囲が前海合作区全域まで拡大

深圳前海では新たな税収優遇政策が打ち出され、2023年1月1日から2025年12月31日まで、深圳前海に設立されている条件を満たす企業に対し、15%の税率(標準税率は25%)を以て企業所得税を課税するという優遇政策の実施範囲が前海合作区全域まで拡大。

2023年12月に、深圳前海は、もとの14.92平方キロメートルから120.56平方キロメートルに拡張された。同政策のもと、より多くの企業が優遇を受けられることが予想される。

また、優遇を受ける企業は以下の条件を同時に満たす必要あり。

1)本業が条件に合う。企業の本業は『前海深港現代サービス業合作区企業所得税優遇目録(2021版)』に規定された一つまたは復数の項目に該当し、かつ関連業務の収入は企業の収入総額の60%以上を占める。

2)企業が前海において実質的な運営をしている。即ち、企業の実際管理機構(生産経営、従業員、帳簿、財産などを含む)が前海にて設けられていること。

吾友コンサルティングについて

吾友コンサルティングは中国で活躍する日本企業を対象に税務・財務・ビジネスのコンサルティングサービスを提供している会社です。みなさんの日々の課題や悩みをしっかり伺い、町医者のように親身になって的確なアドバイスを行っています。

当社の起業理念は、中国で活動する海外企業を中心にビジネスの成長を応援することです。日頃コンサルティングを通じて、多くのお客様がビジネスの小さな成功に止まらず、中国という国に向き合い、その特性などを深く理解した上でタイトに繋がろうとする姿勢を感じています。深い理解あればこそ、より大きな成功に結び付いていると思います。

皆さまへの更なる応援のために、当社総経理、Vivian Liuが業務を通じて感じたり、考えたことを記し、発信させていただくことにしました。当面、隔月です。

テーマに関し、文化・社会的な内容に加えて、適宜ビジネスの成功や失敗からの学びなど実践的な内容もカバーしていくつもりです。

また、当社と提携している会社、当社のお客様または知り合いなどにも寄稿をいただいております。

ぜひよろしくお願いいたします。

Vivian Liu 連絡先:

vivian.liu@wuyou-consul.cn

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