深センから中山まで30分で到達、記録づくしの「深中通道」開通

計画から7年の建設期間を要し、ついに6月30日に開通した「深中通道」は、深センから中山まで30分、深センから珠海までは1時間で到達できるようになりました。

工事が世界トップクラスの難易度となったこの橋の長さは約24キロで、橋の高さは91メートル。世界で最も高い海上横断橋です。

(2024.07.03 ETC車両通行料記載を修正しました)

「深中通道」とは

深中通道とは、中国広東省の深圳市と中山市をつなぐ新しいルートのこと。

このルートが開通したことにより、深センから対岸の中山・珠海に向かう際に東莞を迂回する必要がなくなり、運転距離は100キロ以上も短縮されます。

世界で最も高い海上横断橋となる「深中大橋」の設計時速は100キロ。双方向8車線(片道4車線)の幅広い車道で、設計耐用年数は100年という設計基準を採用。

橋の長さは約24キロ、橋の高さは91メートル(30階建てのビルの高さ)、航行可能な高さ(水面からの橋の最下部の高さ)は76.5メートルと、とにかく巨大。海をまたぐ吊橋としては世界一の高さを誇ります。

また、世界最長・最深の海底埋没式チューブトンネルを備えており、建設規模においても世界最大の海底トンネルとなります。吊橋としては世界最高の風力試験風速を記録し、世界初の水中高速道路ハブと、「世界記録づくし」が話題です。

有料道路の通行料金内訳

深中通道は有料道路ですが、料金は(標準車の場合)66元で通行可能です。

内訳は、東人工島から西人工島までが37元、西人工島から万顷沙枢纽互通(ジャンクション)までが23元、万顷沙枢纽互通から横門インターチェンジまでが6元となります。(いずれも標準車の場合)

例外として、大型連休時の7席以下の乗用車は無料、「緑色通道」(グリーンチャンネル)と呼ばれる生鮮・活農産物輸送車は無料、ETC車両通行料は5%割引といった優遇措置が実施されているようです。

なぜ海底トンネルを併設したか?

ここで疑問が生じます。なぜ深中通道はわざわざ大変な工事をしてまで橋と海底トンネルのハイブリッドになったのか?

それは、深中通道が深圳空港に隣接するため、飛行機の発着に影響を及ぼさないようにする必要があるのと、中国南部最大のコンテナ港である広州港からの大型船の航行を妨げないようにするためなのだそう。

橋の高さが巨大であることにも理由があります。広州港には130以上の国際コンテナ航路があり、毎日4,000隻以上の船が橋の下を航行しています。将来的には30万トンの貨物船と3万TEUのコンテナ船の航行ニーズに応える必要があるため、世界の主要航路であるスエズ運河やパナマ運河に架かる橋よりも約10メートルほど高く設定されています。

「海中の針に糸を通す」難易度

海底トンネルの建設には、とても高度な技術を要した模様です。海底トンネル部分は約8万トンの重さの32本のパイプが接続されていますが、そのパイプは長さ160メートル以上、幅46メートル以上、高さ10メートル以上。このパイプを目に見えない海中で正確に接合しなければならず、設置誤差はなんと5センチメートル。「海中の針に糸を通す」レベルの作業です。これを可能にしたのが、北斗衛星によるナビゲーションシステム。衛星からの測位信号を受信して正確にドッキングしたのだそう。

他にも、トンネル内には14台のインテリジェント検査ロボット(智能巡检机器人)が平均して1.2キロメートルおきに設置されています。 これらのロボットは、緊急時には管制センターからの遠隔指示を受けて現場に急行することができるほか、専用のスピーカーで交通誘導を行うこともできるとのこと。

加えて、トンネル内の交通の安全を確保するため、インテリジェント交通管制システム智慧交通管控系统)を開発しました。このトンネル内に設置された各種センサーにより、迅速に事故を検知することができます。火災が発生した場合は、トンネル上部の高圧水霧消火設備と泡消火設備を制御室で遠隔操作して作動させることが可能です。

安価な路線バスも運行開始

深中通道の開通と同時に、いくつかの都市間バスの運行も開始しました。運賃は15元からと、とてもリーズナブル。

バスの予約は、「深巴出行」ミニプログラムや、「深中跨市公交」ミニプログラムから可能です。

【T01A】中山博览中心—前海湾地铁站(18元)

(運行時間)6:20-21:30(15-20分間隔)、総距離約60キロ、所要時間約1時間、運賃18元。

【T01B】中山国际人才港(翠亨新区)—前海湾地铁站(15元)

(運行時間)6:20-21:30(15-20分間隔)、総距離約45キロ、所要時間約45分、運賃15元。

深中机场专线中山博览中心—深圳机场(60-78元)

(運行時間)6:00-23:00(60元) / 23:00-6:00(78元)

開通を祝してドローンショー開催

深圳湾では深中通道開通を記念して1500機のドローンが夜空を舞いました。

大湾区の発展に一役買うインフラの数々

一国二制度に加え、3つの関税圏と通貨(中国本土・香港・マカオ)を持つ大湾区をより密接につなぐために橋は欠かせません。

過去には、1997年に広州市南沙区と東莞市をつなぐ「虎門大橋」が開通。2007年に香港と深センをつなぐ「深圳湾大橋」が開通し、2018年には香港・珠海・マカオをつなぐ世界最長の海上横断橋「港珠澳大橋」が開通。港珠澳大橋によって輸出入総額は7000億元を超えたのだそう。

他にも、現在計画中の深圳と珠海を結ぶ「伶仃洋通道」(深珠通道)が控えており、こちらは2035年開通予定。

今回の世界トップクラスの難易度を持つ深中通道を完成させたことで、他の建設中の道路にも弾みがつきそうです。


Source:

香港Vision:重磅:深中通道通车庆回归!750万港人炸了!明星团首发

伯乐进口物流平台:太火爆了!深中通道通车第一小时超7000车次通过

大湾区之声:有关“深圳⇄中山跨市公交”,小编收到了许多提问……

深圳巴士集团:深中通道 | 6月30日已售罄!前往中山的乘客请注意!

新闻联播:深中通道到底牛在哪?

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