(9/22 追記)深セン日本人学校の事件について、現地在住の皆様へ

(写真:深セン日本人学校前にて、在住者提供 9月19日、20日撮影)

9月18日に起きた深セン日本人学校の事件について、ネット上では様々な情報が飛び交い、感情的で極端なコメントも見受けられます。当記事は、中国・深センにおられる在中邦人の皆様に役立てていただきたいと思い作成しました。

9月18日に発生した事件の詳細は報道各社から発せられているため省略します。

産経新聞:中国には9都市に11の日本人学校、スクールバスの警備強化目指した矢先に 邦人男児死亡

少し立ち止まって、現地にいるとあまり考慮する機会のなかった深圳在住日本人数と、南山・蛇口エリアの土地環境に触れておきます。

深圳の在住日本人数

外務省にて公開されている統計調査によると、2023年の深圳市在住邦人者数は3,600人。上海やお隣の香港と比べると在住邦人数は少なく、今回の件で中国ビジネスの撤退が加速し、今後さらに減少すると予想されますが、絶対数が少ない分日本人同士のつながりは強いと個人的には感じています。

日本人学校周辺環境・施設

南山区の「蛇口」(Shekou) 周辺にはインターナショナルスクールや韓国人学校が、また外国人向けのマンションやサービスアパートメントも多数存在し、日本料理店や多国籍料理店などが立ち並び、夜に街中を歩いても危険を感じないエリアでした。

現地で生活していくにあたり、助けとなる備えや施設をご紹介します。

非常時に駆け込める外国人サービスセンター

蛇口には深圳市直轄の「蛇口外国人管理サービスセンター」(MSCE)、「南山国際文化交流サービスセンター」などの外国人向け施設がいくつかあり、地元の方々と外国人との文化交流イベントも行われています。

サービスセンターのスタッフはとても親切でフレンドリーです。蛇口外国人管理サービスセンターからは事件の翌日(9月19日)にいち早く「お見舞いをしたいが、日本の感覚では何が相応しいか」という相談の連絡がありました。その担当者には9歳の娘がおり、「被害者の母親がどれだけ絶望しているか想像することもできない」と、とても悲しんでいました。

参考までに、蛇口外国人管理サービスセンターの場所をご紹介します。スタッフの対応言語は英語と中国語ですが、何かあった時にすぐに駆け込めます。(ボランティアチームの中には日本語を話せるメンバーが存在します)

場所を覚えておくことをお勧めいたします。お時間のある時にぜひ訪れてみてください。

Shekou Management and Service Center for Expats
蛇口境外人员管理服务中心

営業時間: 月曜ー金曜 9:00-12:00 / 14:00-18:00

住所: 深圳市南山区蛇口街道南水步行街与石云路交汇处
(最寄駅:地下鉄2号線「东角头」駅 A出口)

TEL: 0755-26678381
WeChat ID: MSCE26678381

対応言語:英語・中国語

via Shekou Management and Service Center for Expats
via Shekou Management and Service Center for Expats
蛇口境外人员管理服务中心の所在地(画像クリックで拡大)
蛇口境外人员管理服务中心の所在地(画像クリックで拡大)

在広州総領事館

在広州総領事館は広州市に位置していますが、深圳市は管轄範囲内のため度々出張サービスを提供しています。今回の事件においても、在広州総領事館は深圳市政府と連携して対応にあたり、ホームページにて最新情報を報告しています。

在広州日本国総領事館

深圳市による哀悼の表明

皆様のお気持ちはご遺族にお届けします

今後も在広州総領事館からの最新情報は当サイトでもお伝えいたします。

(9/22 追記)深圳市政府日本語ポータルサイト

深圳市政府は2021年に日本語のポータルサイトをリリース。その後アップデートを続けており、かなり充実した内容のサイトになっています。Shenzhen Fanトップページにもリンクを掲載しています。

深セン市政府ポータルサイト

ここでは深圳・中国関連ニュースの日本語訳のほか、深圳のローカルイベント情報なども掲載。またビザ・居留許可・結婚育児など、深圳での生活に必要な情報が日本語でしっかりと記載されています。お時間のある時に一度ご覧になることをお勧めします。

「来了就是深圳人」(来ればあなたも深圳人)

深圳市は中国の他の多くの都市とは異なり移民の街として知られており、「来了就是深圳人」(来ればあなたも深圳人)というスローガンは有名です。深圳に来て仕事を頑張れば平等に豊かになれるという風土は、格差による差別を受けてきた中国の地方で育った人々にとってとても魅力的で、非常にたくさんの若者が移住をしてきました。

その受け入れの風土は外国人にも開かれており、差別意識のようなものは低く、外資系企業も多いため広東語や北京語以外に英語や日本語を話せる方も一定数います。香港から仕事で毎日越境して来る方々も多く見受けられます。

中国における敏感な日「918」

しかしご存じのように、日本と中国はその歴史から「敏感な日」が存在します。事件の起きた当日である9月18日は、中国において「柳条湖事件」「九一八事変(満州事変)」の日となり、毎年街中で防空警報のサイレンが鳴り響きます。このような敏感な日は中国国内で反日感情が高まるため、日系企業はこれらの日には新製品の発表などを控えます。9月はこういった敏感な日がいくつか存在します。

これらの日は、中国で生活していく邦人にとっては気をつけないとならない日ですが、筆者も蛇口エリアに在住していた時は安全で安心していた生活に慣れ、この日を認識していませんでした。今後は気をつけていきたいものです。

Shenzhen Fanでは毎年の祝日カレンダーを作成しています。2025年版は国務院より休日日程が公開され次第作成します。

現地の様子

現地では自粛ムードが広がっています。

特に中国・深圳でお子さんを育てている親御さんにとってショックは計り知れません。現地のご家族の多くは外で日本語で話すことも、日本人同士で集まることも、日本らしい服装をして出歩くのも難しく、今まで安心して過ごせていた深圳がとたんに不安な街になってしまったこの状態を外部の方が理解するのは困難だと感じます。

今まで日本人向けの中国語学校や飲食店などで毎週開催していたイベントや交流会の多くは自粛せざるを得ず、予約のキャンセルが相次いでいる日本料理店にとってはまるでコロナ禍の再来です。「粤海酒店」など日本人御用達のホテル関係者によると、ホテルではセキュリティの強化を行なったようです。

10月初旬の国慶節大型連休前に一時帰国可能な方は早めに心身共に休息できるようになることを願っています。一方で日中国際結婚をされているご家族の多くは生活の基盤があるため、簡単には帰れないことも外部の方々には知って欲しいところです。

この流れが続くと確実に日系企業の撤退が中国各地で加速し、日本人観光客も減ることが予想されます。同時に日本国内でも嫌中感情が高まり、すでにネット上で感情的なコメントも目立ちますが、在日華人に対する嫌がらせなどは報復の連鎖につながりかねず愚の骨頂です。仕返しは逆効果なので冷静な対応が求められます。

深圳で子育てをされている日本人家族の方々は特に、まずは事態が沈静化してまた自由に安心して外を歩けるようになってほしいと皆が切に願っています。スクールバスの警備強化など子供達を守る手立てを日本政府や領事館、企業の皆様が検討してくださっていることでしょう。一方で、やはり私たちは外国で暮らしている外国人であるという事実を思いに留めながら生活していく必要もあります。

前述の蛇口外国人管理サービスセンターのスタッフも何かできることがあれば助けになりたい旨を伝えてくれていますし、今後、当サイトでも日本人コミュニティや深圳の公的機関と連携して何かあった時に駆け込める場所を増やしたり、在中邦人の皆様が安全に暮らしていけるようにできるだけサポートをしていきたいと思っています。このような情報が欲しい、といったご要望や他にも気になる点がありましたらグループチャットやお問い合わせフォームなどで遠慮なくご意見をお寄せください。

事件に関する現地メディアの報道

最後に、深圳と広州の現地メディア(深圳特区报南方都市报)の報じた記事を一部紹介します。

深圳新闻网:警情通报

深圳新闻网:深圳日本人学校被刺学生不幸去世,警方通报称嫌犯为单人作案已依法刑拘

深圳发布:深圳特区报、南方都市报刊发评论!严惩凶手,绝不容忍任何违法暴力行为

罪のない人に対する暴力、特に子供を標的にした暴力は、人類文明の底流に対する挑戦であり、法に対する挑発です。中国は法治国家であり、いかなる暴力による違法行為も絶対に許されるものではありません。警察は、ナイフで学生を傷つけた鍾某を刑事拘留し、強制措置を講じました。現在、事件はさらに調査中です。関連部門が事件の真相をできるだけ早く明らかにし、法に基づき殺人犯を厳しく処罰することを、我々は確信しています。これは社会各層の共通の期待でもあります。

警察の調査によると、中華は単独犯行であり、この事件は孤立した事件である。中華の暴力的な行為は、一般の中国人の質を表すものではないことは確かであり、極端なケースが社会全体の状況を反映しているわけではない。

中国の開放と中国と外国との文化交流の先駆け都市である深センは、長年にわたり、法治と治安の良好な環境づくりに尽力し、深センにいるすべての人々の生命と財産の安全、および正当な権利と利益を効果的に保護し、外国人にとって、法治に基づく、国際化された、便利で働きやすく、暮らしやすい環境を作り出してきた。国内外の友人たちは、旅行、留学、ビジネス、生活のために深センに来ても安心だ。深センに来たら、彼らは深セン市民だ。深センはあなたの家であり、私の家でもある!

深圳特区报

花開く前の蕾のような命が、開くことなく散ってしまいました。 これは胸が張り裂けるようなニュースです。被害者のご家族がこの1日で感じられたであろう悲しみと苦痛を想像するのは困難です。私は、親なら誰しもが、子供がナイフで襲われるなどということがあってはならない、とんでもないことだと考えると思います。

罪のない被害者と、お子さんを失ったご家族に心からお悔やみ申し上げます。私たちは加害者を強く非難します!

子供に対する暴力を決して許さず、妥協もしません。 学校の前で理由もなく刃物で襲われることは、子供にとって想像を絶する恐怖とトラウマであり、都市にとっても同様に衝撃的で憤りを覚えることです。「生命を尊ぶ心があってこそ、世界は無限の活力を見せてくれる。」「思いやりを育み、生き物を傷つけない。この思いを胸に抱き、慈悲深い人になろう。」生命の尊重は、すべての文明国や社会が共有する価値観です。

理由もなく子供たちに与えられた暴虐と殺人は決して許されるものではない。それは何よりもまず、正常な社会秩序に対する残忍な攻撃であり、平和で安定した環境における一般市民に対する脅威であり、暴力的な威嚇であり、そして対外開放度の高さで知られる現代都市・深センに対するとんでもない挑発行為である。最終的には道徳的な非難と厳しい法の裁きを受けることになるだろう。

深センは、中国の改革開放の窓口であり、夢を育み実現する場所です。深センで働く人々、生活する人々、旅行する人々すべてにとって、より安全で、より便利で、より良い環境を作り出すことに、深センは常に尽力してきました。高度な開放の潮流が前進するにつれ、深センで生活し働くすべての人々、外国人を含む人々の生命と財産の安全、正当な権利と利益は、より強力に保護されるでしょう。

南方都市报

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