2024フォーチュン・グローバル500企業発表、深セン企業は10社がランクイン

8月5日、フォーチュン誌が年1回発行する、企業総収入ランキング「フォーチュン・グローバル500」の2024年版が発表されました。

中国企業は133社がランクイン。そのうち深センからは10社が入り、BYDは大幅にランクアップ。このリストから中国や深センの経済を牽引する企業が見えてきます。

フォーチュン・グローバル500、世界のGDPの3分の一を占める

8月5日、2024年フォーチュン・グローバル500リストが発表されました。 ウォルマートが11年連続で世界一となり、アマゾンは2位に返り咲き、続いて中国国家電網、サウジアラムコ、中国石油化工集団が続きます。

今年のフォーチュン500リストの総収入は約41兆米ドルで、世界のGDPの3分の1に相当し、昨年より約0.1%の微増となりました。 今回のリストに入るためのしきい値(最低売上高)は321億ドルで、 リスト入りした全企業の純利益を合計すると、前年比2.3%増の約2兆9700億ドルとなりました。また、リストにある米国、中国、日本の3カ国を合わせると、企業数、売上高、利益の約3分の2を占めるのだそう。

中国企業は133社がランクイン

今年ランクインした中国企業133社の2023年総売上高は約11兆米ドルで、昨年のリスト掲載企業142社と比較すると総売上高は約6%減少し、平均売上高は約830億米ドルとなりました。

中国のEC企業では、何かと話題のTEMUを運営する拼多多(Pinduoduo)が442位に初登場。2023年に拼多多の年間売上高は前年同期比90%の増加。2024年第1四半期には868億元の売上高を達成し、前年同期比131%の増加で純利益は前年同期比246%の増加。現在は北米、オセアニア、ヨーロッパ、アジアなど70の国と地域をカバーしています。

一方、阿里巴巴(アリババ / Alibaba)は70位にランクイン。昨年より2つ順位を下げており、昨年のアリババの米国株式時価総額は初めて拼多多に抜かれてしまいました。アリババは成長率を維持することに課題を抱えており、2024年度の売上高は前年比8%増、営業利益は前年比13%増でした。新CEOの就任により巻き返しを図ります。

アリババのライバルとなる京東(JD.com)は47位。昨年の年間売上高は1兆847億元で前年比3.7%増、2023年の純利益は242億元で前年比133%増でした。京東は赤字事業の一部を縮小し、洗練された事業を強化して、事業構造などを調整してきたのだそう。

そして384位にランクインした美団(Meituan)の売上高は前年比26%増の2767億元を達成し、黒字に転換。美団の中核事業であるローカルコマースは徐々に回復しています。2023年の美団の株価は低迷していますが、美団は新たな組織再編を発表し、中核的なローカルコマースに関連する多くの事業を統合。テクノロジーと国際化に関連する事業をさらに優先させているようです。

小米(シャオミ / Xiaomi)は昨年の360位から397位にランクダウン。昨今のシャオミはEVスマートカー分野に参入しましたが、この自動車事業からの収益も今後のランキングに影響を及ぼします。

利益の高い企業は商業銀行が占める

中国はまた、利益トップ10に3社がランクインしており、いずれも中国の有名な商業銀行です。中国工商銀行(ICBC)がマイクロソフトに次いで6位、中国建設銀行(CCB / China Construction Bank)がMetaより上位の8位、中国農業銀行(ABC / Agricultural Bank of China)が10位となりました。6位のICBCの利益は514億米ドルを超えています。

自動車関連産業が好調

特に目立つのが、自動車・部品関連企業。中国からは合計10社がランクインしており、そのうち、奇瑞汽車(Chery Automobile)は売上高391億ドルで385位となり今回初めてランクインしました。他の9社のほとんどの企業も前年比で順位を上げています。

特にBYDは前年のランキングから69位も上昇。同社の売上高は前年の630億ドルから851億ドルに増加しています。250位にランクインしたバッテリーメーカーの宁德时代(CATL)の売上高は、昨年の488億米ドルから今年は566億米ドルに増加し、吉利汽車も売上高が604億ドルから704億ドルに増加しています。

徐々に姿を消してゆく不動産企業

今年の中国不動産企業のリストには、绿地、万科、保利の3社がランクインしていますが、绿地、万科は去年からランクダウン。また、昨年は206位だった碧桂园と402位の龙湖はランク外となりました。

ここ数年のフォーチュン500を振り返ってみると、不動産企業が最も多くランクインしたのは2021年でした。恒大集団、碧桂园、绿地、華潤、華潤置地、万科、保利、阳光龙净(阳光城)、龙湖、融創(Sunac)がランクインしていました。しかしその翌年は4社がランクから消えてしまいます。

ここ数年で大手不動産企業の売上高は減少し続け、今後数年の決済サイクルに入ると、収益も大幅に減少します。「不動産企業は5年以内にトップ500から脱落するのではないか」と予想するメディアもありますが、加えて以下のランクインしている中国企業は不動産開発にも関与しています。彼らの今後にも注目です。

  • 中国建筑(14位)
  • 中国中铁(35位)
  • 中国铁建(43位)
  • 中国中化(54位)
  • 中国交建(63位)
  • 中国五矿(69位)
  • 山东能源集团(75位)
  • 厦门建发(85位)
  • 中粮集团(106位)

深セン企業10社リスト

今回ランクインした深センの企業(企業統計登録所在地が深センにある企業)は、中国平安保険、華為(HUAWEI)、騰訊(テンセント)、BYD、中国招商銀行、万科、深投控、順豊(SF)、中国電子、立訊精密工業の10社。

(53位)デジタルサービスから経済圏を拡大した「平安保険」

トップは中国有数の生命保険会社「平安保険」(Ping An)。売上高は1,457億5,900万米ドルです。事業開発者向けWebメディアBizZIneの記事によると、平安保険はただの保険会社ではなく、これまで「平安好医生」といった医療などの社会課題を解決するデジタルサービスを提供・拡大してユーザー数を飛躍的に増加させ、経済圏を広げていった結果、ここ30年で最も成長している金融機関と評価されるまでになりました。

BizZIne:中国 平安保険の成功モデルから学ぶ、UXの戦略・事業づくり

平安国際金融センター Image via EyeShenzhen

(103位)成長軌道に戻した華為技術(ファーウェイ)

通信分野における中国のトップ企業である華為技術(ファーウェイ)は、昨年の111位から103位へと順位を上げ、売上高は1,000億ドルに迫っています。ファーウェイはここ数年大きな浮き沈みを経験しており、端末事業の売上高は4,830億元から一時は2,145億元まで落ち込みました。しかし昨年は2,515億元と回復して3年ぶりに成長軌道に戻り、2023年の世界売上高は7,042億元、純利益870億元を達成。とはいえ今後も周辺環境がもたらす課題を解決していく必要があります。

(143位)大幅ランクアップしたBYD

2023年に中国企業で最も順位を上げた企業となったBYDは、今年143位と大幅ランクアップ。売上高は前年の630億米ドルから851億米ドルに増加しました。2023年にBYDのEV自動車年間販売台数は302万台を突破し、今年7月4日にはタイ工場が完成し、勢いをつけています。

タイにおけるBYD発表会 Image via EyeShenzhen

(141位)テンセント

テンセント(騰訊 / TENCENT)は2023年、動画プラットフォーム「视频号」・広告AIモデル・ゲームなど多くの製品やサービスが好調でした。微信(WeChat)動画や検索広告、小型ゲームプラットフォームなどのサービス料は売上総利益と営業利益の伸びを牽引し、質の高い収益源となったようです。

テンセント Image via 蛇口消息报

(370位)深投控(深圳市投資控股有限公司)

2004年に設立された深圳市投資控股有限公司(Shenzhen Investment Holdings Company Limited)は読んで字の如く投資会社です。いくつかのファンドパートナーと共に投資を進めており、最近は深圳の製薬会社の再編に一役買っています。

(415位)顺丰(順豊 / SF)

SF Expressといった物流サービスで有名な順豊(SF)。 順豊は中国とアジアで最大、また世界でも第4位の総合物流サービス・プロバイダーとなっています。現在は時間指定速達、経済速達、速達、保冷・医薬品、市内即配、国際速達、国際貨物輸送・代理、サプライチェーンなどの物流分野に拡大しているのだそう。

順豊 Image via 蛇口消息报

(435位)中国電子

中国電子は中央政府が直接管理する国有基幹企業で、インターネットと電気通信を主要事業としており、これまで14年連続でフォーチュン500社に選ばれています。同社は現在、従業員数が18万9,000人、傘下の上場企業は24社、加盟企業は663社、総資産は4,336億元、事業範囲は6大陸60カ国以上に及んでいます。2021年には北京から競争力や市場の自由度が高い深圳に本社を移しました。

JETRO: 中央国有企業の中国電子情報産業集団、深センに本社を移転

中国電子新社屋イメージ図 Image via 蛇口消息报

(488位)Apple製品のサプライチェーン、立訊精密工業

今回488位となった立訊精密工業(Luxshare)は深圳市宝安区に本社を置く中国の精密機器製造企業で、家電製品を中心に、通信、自動車分野にも進出しています。立訊精密工業は長年にわたりApple製品のサプライチェーンとして、AirPodsやiPhoneの製造を行ってきました。中国本土企業で創業者は元々富士康(フォックスコン/Foxconn)の精算ラインで働く従業員で、現在もフォックスコンは主要顧客の一つのようですが、2023年にAppleがiPhoneのハイエンドモデル生産を立訊精密工業に委託したため、iPhoneの独占サプライヤーとしてのフォックスコンの地位が崩れるのではないかと報道されたこともあります。

Luxshare本社 Image via ShenzhenDaily

2025年のフォーチュン500には何社が入ってくるでしょうか。不動産業界は厳しいですが、新たなテック企業がランクインされるといいですね。


Source:

FORTUNE: Global 500

第一财经:拼多多首次上榜,华为未进前 100,最新世界500强出炉→

科技美学:世界500强公布 华为小米连续入榜

深圳商报:《财富》世界500强发布,10家深企上榜!

蛇口消息报:3家南山企业上榜!2024年财富世界500强发布

鹏城楼哥:世界500强揭晓!深圳10家企业上榜!房企逐渐淡出榜单?

ShenzhenDaily:10 SZ firms make Fortune Global 500 list 深圳10家企业上榜世界500强

EyeShenzhen:10 SZ firms make Fortune Global 500 list 《财富》世界500强榜单揭晓 10家深企上榜

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事