2020年5月1日、深センではゴミの分別が正式にスタートしました。
深セン市は街中のゴミ箱設置などのインフラ整備に加えて、スマホアプリなどを駆使しながら市民にゴミ分別の意識向上と法制施行後の備えをさせてきました。
2019年の時点で4段階のフェーズ2まで来ていましたが、今回全ての準備が整い、正式スタートの運びとなりました。
2019年、2018年のゴミ分別に関する過去記事はこちらから↓
Source:
中国物业管理:5月1日起,北京、深圳两地垃圾分类条例开始实施
蛇口消息报:南山今年垃圾分类怎么做?详细方案来了!做得好还有奖励!
目次
2019年に先行実施した上海の成果は?
2019年末の時点で、中国の46主要都市の住宅地でのゴミ分別カバー率は70%近くに達し、各地域で廃棄物管理規則などの地方条例や政府規制、規制文書を発行しています。
各都市では、家庭廃棄物の強制分類を促進する法律を通過させました。要件に従って分類しない人は法律に従って罰せられますが、先行して2019年7月1日に強制分類を正式に実施した上海ではどれほどの成果が出ているのでしょうか?
上海では、2019年に住宅地のごみ分類の順守率が2018年末の15%から90%に引き上げられ、全体の順守率は87%になりました。広州市では国内廃棄物分別処理の評価結果が幹部の昇進に直接影響しているのだそう。
北京と深センで5月1日より分別規制施行開始
5月1日から、北京と深センのゴミ分別規制が施行され始めました。
深センで施行されたのは《深圳市生活垃圾分类管理条例》(生活ゴミ分類管理規則)という条例。
これにより、ゴミは「主導分類」から「必須分類」へと変わり、法的拘束力が伴うようになりました。
不法投棄者には罰則が
市はゴミの不法投棄を思い止まらせるように教育を行い、順守しない者に対しては警告をしていきます。
分類せずにゴミを捨てると、50元以上200元未満の罰金が科されることがありますので注意してください。
南山区の取り組み
例えば、南山区の600の地区では集中型ごみ収集所が設置されました。
南山区は2019年1月から12月までに103万7,185トンの家庭ゴミを出しましたが、15万トン以上の廃棄物を削減できたそうです。合計削減率は32%とのこと。
また、生ごみの収集・運搬システムを別途構築・整備中です。今年の8月末までに生ごみ処理拠点を建設・運用し、今年末までに南山区の住宅地における生ごみの分別・収集・輸送を実現する予定。
さらに、家庭廃棄物分類の情報監視プラットフォームも構築します。GPS端末やビデオ監視などの機器を活用し、再生可能な資源リサイクルの推進をしていくのだそうです。
WeChatミニプログラム「E嘟在线」の活用
深圳市は「E嘟在线」WeChatミニプログラム等を用いています。
このアプリを使ってゴミ分別管理者のトレーニングを強化し、住宅コミュニティのゴミ分類監視や収集ポイントの検査、住民のリアルタイム収集記録に加え、ゴミの分類と削減の監督管理を促進するためスタッフのランキング、参加率等の統計分析も行っていくのだそう。
アプリを開くと以下のような分別管理者のランキングを見ることができます。
上位に来るとモチベーションが上がりますね。
課題は残る
南山区は上記のように前向きな報告が見られますが、一部報道ではまだまだ課題があるようです。
例えば、今までマンションには大きなゴミ箱があり、そこに何でも入れていましたが
2019年より各エリアで分別用のゴミ箱が設置されてきました。しかし地元メディア「蒋说金融」によると、ほとんどの住民は分別用ゴミ箱にではなく今まで通りの大きなゴミ箱にゴミを捨てていました。
また、分別や運搬ができるゴミ収集車も見たことがない、とのこと。つまり住民が分別用ゴミ箱に入れたとしても裏側でどうなっているか分からないのだそう。
そして指定時間内にゴミを出さない住民もおり、そのまま放置されるゴミは夏場に悪臭を放つ…とも。
深センはゴミを4つのカテゴリに分類しますが、これらの分類方法を答えられない人も多いようです。
とはいえ、今までは罰則なしの取り決めだったため、法的拘束力を持つようになった今後は順守する人も増えてくるのではないかと思われます。
2019年に上海で一足早く分別が施行された時も混乱が生じていましたが年末には順守率が90%になりましたし、北京も深センも同じようにできるはず。
新型コロナウイルスをきっかけに人々の衛生意識が向上した今、アプリなどを駆使しながら今まで手を付けることができなかったこの分野に改革がもたらされています。
課題はあっても人々はきっと良い習慣を持つようになり街が綺麗になっていく…と期待しています!