2019年には日本にも上陸を果たした総合家電メーカー 小米集团(Xiaomi/シャオミ)は、深圳南山区に国際本部を設立する計画を発表しました。
そして、現在東莞市に本社があるスマートフォンメーカーVIVO(维沃移动通信有限公司)やOPPO(广东欧珀移动通信有限公司/广东欧加控股有限公司)の深セン本社建設作業も進行中です。
3社を合わせた総投資額は180億元を超えます。日本円にすると2,800億円超え!建築デザインも要注目です!
目次
VIVO本社建設ー2024年完成予定
6月29日、有名スマートフォンメーカーVIVOの深セン本社建設作業が宝安区で発足しました。
これは、経済界で大きなニュースとなっている深圳市の「新1,000億投資プロジェクト」“新增千亿投资工程”の一環に含められており、新本社ビルの投資金額は28億元(約426億円)で、プロジェクトの総投資額は約40億元!
場所は宝安深センー香港前海合作区の新安街道にあり、面積は8,142平方メートル、高さ150メートルの32階建てになるとのこと。2024年末に完成見込みで、約6,000人の技術スタッフが配置される予定です。
位置は恐らくこの辺りだと思われます。近くにはテンセントのNET CITYも建設されるので相乗効果が見込まれますね。
設計はテンセント本社・Amazon本社を手掛けたnbbj!
このデザインコンセプト、非常に美しいのですが
設計は以前にテンセントのNET CITYの記事でもご紹介したシアトルの有名設計事務所nbbj社が手掛けているそう。Amazon本社・テンセント本社・上海の有名観光エリア「外灘」なども携わっている超有名設計事務所です。
深センの未来を担う最新施設をアメリカの設計事務所に依頼するのは面白いですね。
環境との統合を考えた新社屋デザイン
優れたデザインと環境との統合を備えたVIVO深セン本社。
特徴は建物のらせん構造にあります。らせん構造に埋め込まれた巨大なガラスや緑のテラスは中国南方の景観とマッチしています。
各階にはさまざまな種類の木が植えられ、「垂直生態都市」のコンセプトを実現するとのこと。風景を独占せず、他の建物とも調和させるのだそう。
最近よく聞かれる「SDGs」=持続可能(サスティナブル)な開発を取り入れています。
2019年のスマートフォン世界シェア第2位
窓から見える海の開放的な眺めと自然は従業員の心身の健康にも貢献することになり、仕事のアイデアもどんどん浮かびそうですね。
Vivoは2019年のスマートフォン世界シェア第2位にランクされており、中国国内における5G端末の市場シェアもHuaweiに次いで2位。5G業界のリーダー的な立ち位置です。またR&D(研究開発)に多額の投資を行い、世界に焦点を当てています。
VIVOの従業員数は全国に3万人おり、VIVOのスマートフォンは2019年に世界中で1億1千万台販売され、2019年の売上高は1,200億元でした。
深センのVIVO新社屋では、スマートフォン端末・ソフトウェアサービス、インターネット付加価値サービス、AI、イメージング分野の研究開発を行って技術革新を生むのだそう。
OPPO深セン新本社ー2025年完成予定
OPPOは2019年のスマートフォン世界シェア第3位のスマートフォンメーカー。VIVOとは同じグループ会社なのですが、VIVOと僅差で争っています。
綺麗な自撮りができる端末として若者に人気で、2018年は合計1億1,310万台を出荷しました。近年は海外展開も積極的です。
OPPOは、深センと東莞に新しい本社を建設します。新社屋は「デザインを通じて人々の相互関係を構築する」という概念を実装するのだそう。
深セン新本社の気になる場所はこのあたり。「深圳湾超级总部基地」という区画内に建てられます。
深圳湾超级总部基地
この深圳湾超级总部基地、今後数年内に一流企業が次々と自社ビルを建設予定の要注目エリア。
地铁集团、招商银行、神州数码、碳云智能、天音通信、恒力集团、中信证券、恒大集团、中国电子、中兴通讯、欧加通信(OPPO)、万科集团、联泰集团など 13社が建設を予定しています。
設計はザハ・ハディド建築設計事務所!
深圳湾に新しく建てられるOPPO本社の設計は日本の新国立競技場でも話題をさらった、あのザハ・ハディド建築設計事務所(Zaha Hadid Architects)!
デザインが気になりますよね。早速見てみましょう。
相互に接続された4つの楕円形の塔が連なる形。
高さは約200メートル、42階で構成され、185,000平方メートルの面積をカバーし、総投資額70億元の建築プロジェクト。ここで1万人の雇用機会を提供します。
建物内部からの景色はこのような感じ。解放的で最高の眺め!
2つのタワーの間にあるアトリウムスペースは、会社のさまざまな部門間の相互接続を強化したデザイン。
建物内部でも自然の光を取り入れ、作業スペースのエクスペリエンスがさらに最適化されるとのこと。
ショッピングセンター、アートギャラリー、レストラン、地下鉄にも接続されるようになり、より便利に。
OPPO深セン新本社ビルは、LEED(グリーンビルディング認証システム)ゴールド認証の取得にも取り組んでいます。これは環境に配慮した建築物の取り組みを評価するもので、この目標を達成するため設計チームは3D建物情報モデルとエネルギー管理システムをプロジェクトに適用して、建物の効率を最適化したとのこと。
この建築プロジェクトは、2020年後半に着工予定、完成は2025年の予定です。
すさまじい未来都市感!
シャオミ国際本部
もう説明するまでもないほど有名なシャオミ(Xiaomi/小米集团)は6月24日、深センに国際本部を設立する計画を発表しました。
2019年、シャオミの海外市場からの収益は912億元で、前年比30.4%増加しました。2019年のスマートフォン世界シェアは第4位で、VIVOやOPPOに少し差をつけられてはいますがスマートフォン以外にも同社の製品は90以上の国と地域で販売されています。世界最強のIoTプラットフォームを作り上げたシャオミはますます国際市場での存在感を増していきます。
投資額は、77億7,000万元(約1,183億5,800万円)!
南山区の后海金融商务总部基地(Houhai Finance and Business)と呼ばれるエリアが建設予定地です。
后海金融商务总部基地の場所は?
后海金融商务总部基地は、后海にある深圳湾万象城や深圳人才公園の周囲一帯を差します。
詳細部分は公表されていないためざっくりとしか表現できませんが、以下の点線の枠内(のどこか)に建てられる見込みです。
当エリアは深センの中でも一等地中の一等地で地価がものすごく高く、アリババグループもこの枠内に大きなスペースを取っています。
シャオミ本社の累積事業収入は2020年から2024年の間に510億元に達し、深センの地方税収入に6億元を貢献すると予想されています。
2020年中に24時間化が予定されている深圳湾口岸にも隣接し、香港との物流の面でも絶好の位置にありますね。
シャオミ国際本部建設計画概要
建設計画には、シャオミ国際本部ビル・スマートフォンと人工知能センター<智能手机与人工智能中心>・ビジネス開発センター<商务拓展中心>・インターネットサービスセンター<互联网服务中心>の建設が含まれるとのこと。
スマートフォンと人工知能センター<智能手机与人工智能中心>は、世界最大の携帯電話産業クラスターである深センを利用して、携帯電話の予備調査、カメラ、光学、5G、チップIC、生産技術などの分野において国際的でハイエンドな人材を集め、携帯電話で最も困難な旗艦プロジェクトを作成します。
中〜ハイエンドプラットフォームの中核チームは、毎年100件を超える発明特許出願を行っています。研究開発に12億元を投資し、5年間で39億元の収益をあげる予定です。
ビジネス開発センター<商务拓展中心>は、シャオミの越境eコマースと国内eコマースを統合し、携帯電話とスマートハードウェア製品を、Amazon、eBay、AliExpressなど海外向けの成熟したeコマースに迅速にリリースし、シャオミの既存の成熟した電子商取引ビジネスをシャオミ国際本部に直接移行します。プロジェクトが開始されてから5年後には、累積収入は231億元に達すると予想されています。
インターネットサービスセンター<互联网服务中心>は、シャオミの商業化されたインテリジェントマーケティングのための重要なサポートプラットフォームを構築し、利益率の高いインターネット広告ビジネスに焦点を当てます。プロジェクトは5年後、240億元の累積収益を達成することが期待されています。
シャオミ国際本部の建築デザインは…?
シャオミ国際本部の建築デザインについてはまだ情報がありませんが、VIVOやOPPOの完成イメージ図を見ると期待しないわけにはいきません。
「企業の顔」にもなる新社屋。どんなデザインになるのか今からワクワクしますね。未来感のある建物内で仕事をすればモチベーションも上がるでしょうし。投資額に見合った素晴らしい建物になるはず!
なぜ深センなのか
Xiaomi GroupのWang Xiang社長はこの質問に対してこのように答えています。
シャオミは当初から、世界中の消費者にサービスを提供するという目標を掲げていました。Xiaomi Groupの国際本社の本拠地である深センは香港に支えられており、優れた港湾と空港を備えていると同時に最高の起業家やエンジニアなど、世界中からさまざまな才能が集まっています。
深センの通信業界(特に5G)も発展しています。HUAWEI本部やAppleの研究開発センターも深センにあり、「新BAT」として百度(Baidu)と入れ替わったバイトダンス(ByteDance/字节跳动) も最近深センに土地を購入しました。
それ以外にもたくさんのフォーチュン500企業が続々と深センに参入・投資しています。これによって特定の産業集積効果が起き、製品開発とハードウェア開発が促進されます。
統計によると、深センのデジタル経済産業の規模は、2019年に2兆7,828億6,000万元に達し、中国の大中規模都市で1位にランクされています。今後3年間の平均年間成長率は約15%であり、デジタル経済の付加価値は2022年までに2,428億元に達すると予想されています。
立地的なメリットだけでなく、世界中から優れた頭脳が集まってきている現状を考えると、やはり本社は深センでないとダメなのでしょうね。
スマートフォン世界シェアトップ4の本部が集結し、ますますITの集積地として発展していく深セン。しばらくはこの状態が続きそうです。
Source:
Shenzhen Daily: Xiaomi to set up international headquarters in SZ 小米集团国际总部落户深圳
Shenzhen Daily: Work on headquarters building starts
騰訊新闻:vivo深圳总部开建:总投资40亿,将入驻近6000名研发人员