中国ナンバーワン/世界第二位の高さとなるタワー「世茂深港国际中心」(Shimao Shenzhen-Hong Kong International Center)は2018年に工事が開始され、2024年の完成を目指して現在建設中です。
2020年3月には周辺エリアのデザインコンペ優勝者が決定、7月には商業モールの起工式も行われました。アリババクラウドを利用したAIスマートコミュニティの構築に向け全体像が見えてきました。
目次
「世茂深港国际中心」基本情報
「世茂深港国际中心」は、深圳市龙岗区大运新城に位置し、大运(大運)体育中心(Shenzhen Universiade Sports Centre Stadium)に隣接しています。
ここは先日深セン経済特区40周年を記念して2020台のドローンショーが行われた場所でもあります。
現在の最寄駅は地下鉄3号線「大运」駅ですが、2022年に地下鉄16号線が開通する「大运北」駅が最も近くなります。
深センの中心部からは少し遠く、同じ3号線沿いにある大芬村よりも北東に位置します。
高さ700メートルの高層ビル、完成予定時期は2024年
この建設プロジェクトの目玉は140階建て700メートルの高層ビル。完成すれば中国ナンバーワン、ドバイのブルジュ・ハリファ(162階建て、高さ828.9m)に次いで世界第2位の高さとなる見込み。
(※サウジアラビアで高さ1,008メートルのジッダ・タワー(Jeddah Tower)が完成すれば世界第3位となる)
面積は322,000平方メートル、建設面積は136万4,500平方メートルで、総投資額は約500億元!
起工式は2018年3月26日に行われました。完成予定時期は2024年とのこと。
当プロジェクトは、香港と深センの資本・市場・経営上の優位性を促進し、深セン/香港間イノベーション協力のためのプラットフォームを構築するといった目的があるようです。
起工式当日は広東省委員会常務委員や深圳市党委員会書記、市議会議長といったそうそうたる人物が参加しました。さらに2018年7月20日には香港行政長官、林鄭月娥(キャリー・ラム)氏も竜崗を訪れて視察を行ったことから当プロジェクトの重要性が伺えます。
建設プロジェクト詳細
世茂深港国际中心は、高さ700メートルの高層ビルに加え、アパート・ホテル・オフィス・インターナショナルスクール・アートギャラリー・劇場・公園・広場などが含まれるのだそう。
具体的には4つのセクション(ビジネス地区、アパート、学校、公共エリア)に分かれます。
タワー
タワーの全貌はどのようなものでしょうか?
深圳城市更新旧改ページ内には、想像力満載のイメージ動画が紹介されています。
ふもとには人工的な滝(?)が流れ
タワー内部には屋内プール
そして謎のホログラム空間。ミレニアムファルコンがなぜか飛んでいます。
タワー上部はこのようなデザインに。
最上部は展望台。楽しみですね(どこまで実現するか分かりませんが…)
デザインコンペ優勝者はオランダの建築家集団「MVRDV」
2020年3月9日に発表された、世茂深港国际中心のデザインコンペティションではオランダの建築家集団「MVRDV」の“深圳露台”(Shenzhen Terrace)設計スキームが1位を獲得しました。
“深圳露台” コンセプトデザイン
前述の紹介動画とは若干異なるのですが、“深圳露台” の公開されているコンセプトデザインはこのような感じ。今後はこのスキームに沿って建設が進められていくものと思われます。
深圳露台は東西の2つのゾーンに分かれています。
イーストサイド(東)
イーストサイドは、新しい展示会スペース(会展空间)、劇場(开心梦剧场)、ホール(地标发布厅)、青少年起業家センター(青年创业中心)の4つの領域を通して、深センと香港の若者や企業を誘致し、ハイテク産業、人材トレーニング、国際交流のハブを形成するとのこと。
約2万平方メートルの展示会スペースでは、IP展示会・博物館・アートギャラリー、その他産業の高品質なコンテンツとエンターテイメント技術を組み合わせます。
約3,500平方メートルの劇場は、深センのコアパフォーマンス会場としての場を提供。
約5,000平方メートルの建築面を有するホールはユニークで透き通った建築形態となる予定。イメージ図では壁がガラス張りになっていますね。
約1万平方メートルの青少年起業家センター(青年创业中心)では、深センの青年起業家インキュベータープラットフォームを構築し、竜崗の産業をアップグレードするのだそう。
ウエストサイド(西)
西側の地区は、図書館、文化芸術センター、屋外劇場などの文化施設を作り、若者のための芸術的な雰囲気を構築し、健康的な都市文化生活を創造していくとのこと。
約1万平方メートルの書籍複合施設には有名ブランド書店を引き入れ、年間200の文化的テーマイベントを開催します。
「成长星剧场」という劇場の建設面積は約1万平方メートルで、国内の第一線メディアやファッションポップカルチャー育成機関を導入し、若者が芸術を理解できるよう若者向けの総合的な芸術環境を育成していくのだそう。
商業モール起工式
2020年7月30日には、世茂深港国际中心商业Mallの起工式が始まりました。
かつて商業施設は、注目を集めるために建物の規模や高さを大きくしていきましたが、今後は技術的な革新や複数のフォーマットを統合する「複合ビジネス形態」として大湾区の商業住宅の新しいモデルを構築するようです。
世茂深港国际中心は公共サービスとビジネスサービスといった複数のビジネス形式の特徴を組み合わせ、高級品・美容・エンターテイメント・ハイエンドケータリングなど複数の形式から複合的な没入型ビジネス体験を作り、消費者に無制限の投資機会を創出するのだそう。
そして、現在人気のある「地摊经济」(露店経済)と組み合わせて、屋外と屋内に相互運用可能なモールを建築し、商店のスペースを提供することも計画されているようです。
アリババクラウドによるAIスマートコミュニティ
世茂深港国际中心はアリババと協力して、世茂初のアリババクラウドAIスマートコミュニティを深センに構築します。
クラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能、ブロックチェーン、5Gといったワードが先行しがちですが、世茂は「世茂深圳首个阿里云AI智慧社区发布擎领未来人居走向」という記事の中でこれらの技術をどのように当コミュニティに取り込んでいくのかを述べています。
世茂深港国际中心はアリババクラウドの他、音声認識「云知声」(Unisound)、人工知能ユニコーン企業「商汤科技」(SenseTime)、 監視カメラメーカー「海康威视」(Hikvision)、日本でもおなじみ白物家電大手「海尔智家」(Haier)など多くの大手企業と協力して作り上げていくようです。
世界最大級のアクセスが集中する中国のビッグセール「双11」(ダブルイレブン)のピークを耐え抜く力を持つアリババクラウドは2019年に「未来社区智慧服务平台」というコミュニティ向けのスマートサービスを発表。住民に多様なデジタルサービスを提供することとしています。「超级大脑」と呼ばれるAI+IoTスマート操作システムも用意されます。
顔認識システムによりカードキー不要の「非接触」生活を送ることができ、24時間の監視システムによりコミュニティに入る車両等をリアルタイムで分析、子供や高齢者が危険な場所に行ったり転倒した場合は通知され、帰宅時は照明・温度・湿度などを自動的に最適なレベルに調整したり、指1本で家全体の照明、エアコン、カーテンなどの機器を制御します。
インテリジェント環境監視システム(煙センサー、可燃性ガス警報、洪水検知器、一酸化炭素警報など)は60秒以内に異常を検知し、本人が海外にいても常に家の安全に注意を払うことができるのだそう。
今後も新しい技術を取り入れて、映画に出てくるような近未来の生活を実現させようという意気込みが感じられます。
周辺の土地価格は急騰
大湾区の深センー香港軸と都市集積軸の交差点ともいえる場所に位置する世茂深港国际中心は、1日平均約79万人の処理能力を持つ地下鉄3号線に加え、現在建設中の14・16号線、そして33・21・23号線が近い将来周囲を走るようになり、巨大な交通ハブ「大运国际交通枢纽」を形成していきます。
前海や西丽、光明城に加え、この大运新城も深センの新たな中心スポットとして成長していくことになるのでしょう。予想通り周辺の不動産価格は急騰しています。買うなら今かもしれません!
Source:
dezeen.com: Work begins on world's second-tallest skyscraper in Shenzhen
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