2020年の中国対外貿易ランキングが発表されました。深センはなんと28年連続でトップを維持し、前年比2.4%増の3兆元超えを記録。
「貿易保護主義」「反グローバリゼーション」「コンテナ不足」といった言葉も聞かれた2020年ですが、深セン塩田港では単月の最高記録を更新しました。特に医療用品・生活用品・データ機器などが増加し、バッグ・靴・ブーツなどが減少しています。
目次
2020年 深セン対外貿易総額発表
深センの2020年輸出入総額は、3.05兆元(前年比2.4%増)※中国国内二位
輸入:1.35兆元(前年比3.6%増)※中国国内三位
輸出:1.7兆元(前年比1.5%増)※中国国内一位(28年連続)
東(塩田港)西(蛇口港)のコンテナ処理能力も拡大
深センの2大コンテナ港の一つ、塩田港のコンテナスループットは1,334万8,500 TEU(1TEU=20フィートコンテナ1個分)に達し、前年比は2.1%の増加。そして11路線が新たに開設されました。
深圳市盐田港集团有限公司の劉南社長は、「江西省、湖南省、広西省から塩田港に貨物を流し、5Gなどの技術を利用して港湾サービスを向上させました。2020年9月には塩田港の単月のコンテナ処理量が146万TEUとなり、開港以来の最高記録を更新しました」と述べています。
西側の蛇口港は1,184万TEU、前年比3.6%の増加となりました。果物や穀物などの取り扱いが好調のようです。
新型コロナ対策製品は1,116億元相当を輸出、「一带一路」貿易額は新記録
特に際立った輸出品は、新型コロナウイルス特需となった感染症予防・対策用製品。2020年は1,116億元相当が輸出され、2019年の3.6倍に達したとのこと。
そして深セン市の「一带一路」諸国との貿易額は2.1%増の6,734.7億元に達し、歴史的な新記録となりました。
「宅経済」関連商品売上が好調
2020年は、日本語の「オタク」から派生した言葉 “宅经济”(=オタク経済)関連商品が外国貿易輸出の新しいトレンドになりました。 コロナにより家に閉じこもってゲームやDVDで時間をつぶし、買い物もネットで済ます生活が浸透したため、パソコン、ゲーム機、家具、家電などの海外での販売が増加中。深セン税関のデータによると、「宅经济」関連製品の輸出総額は7.9%増の3,173億元で、輸出総額の18.7%を占めています。
"メイド・イン・深セン"製品の増加
中国国外の顧客を対象としているAliExpressは、年間300万米ドル以上の売上を上げています。AliExpressによると「深センのメーカーと販売店はプラットフォームの半分を占めている」と語りました。
2020年には、"メイド・イン・深セン"抗コロナウイルス製品が世界の主要エリアで活躍し、年間の輸出は3.6倍に増加しています。光明区で製造された病院向けモニター、麻酔マシン等の製品は生産されると倉庫に入ることなくすぐに海外に送られており、新製品の量産受注も増えているのだそう。
対外貿易都市別トップ10
外贸加油站(ChinaForeignTrade)では、各都市の対外貿易トップ10を列挙しています。
- 深セン(1兆6,972億6,600万元)
- 上海(1兆3,725億3,600万元)
- 蘇州(1兆2,941億4,900万元)
- 東莞(8,281億5,500万元)
- 寧波(6,406億9,700万元)
- 広州(5,427億6,600万元)
- 北京(4,654億9,500万元)
- 金華(4,613億2,500万元)
- 重慶(4,187億4,800万元)
- 佛山(4,131億1,900万元)
中国の工業都市、港湾都市としても強い深セン、上海、蘇州がトップ3に入っていますね。
中国全土の輸出入状況
数据归集处の記事によると、中国全土の輸出入増加品目・減少品目上位10品目のリストも列挙されています。
輸出増加品目:医療用品・生活用品・データ機器など
輸出品目の増加率が最も高かったのは医療用品と繊維製品(実際にはマスク)で、それぞれ40.5%と29.2%の増加。言うまでもなく新型コロナ関連特需ですね。他の主要な輸出成長商品は、照明、家具、おもちゃなどの家庭用品、ロックダウン下での在宅ワークのニーズに対応したデータ機器(主にノートパソコン)となっていますが、これらは今後ワクチンの普及を経て、2021年半ばには波が終わると予測されています。
輸出減少品目:バッグ・靴・ブーツなど
輸出減少品目は、バッグ・靴・ブーツといったファッション系。2019年にバッグは0.5%増加、靴は1.7%の増加でしたが、2020年は家に留まる機会が増えたため、需要減少が目に見えて顕著でした。またこれらの生産拠点は東南アジアと南米へのシフトが行われているようで、今後もどうなるか分かりません。
輸入品目:食料品が増加、原油・精製燃料は減少
2020年には食料品の輸入が急増し、肉、穀物、植物油の輸入総額は889億米ドルに達しました。反面、原油と精製燃料の輸入量が大幅下落です。
2021年の予測:貿易黒字成長維持は困難
これまで好調だった医療用品、家庭用品、ホームオフィス用品の成長は維持できないとの見立てから、2021年に中国が黒字成長を達成することは困難であると予想されています。深センの貿易もどうなるか注目です。
Source:
外贸加油站:2020年中国外贸城市十强:深圳、上海、苏州、东莞、宁波、广州、北京、金华、重庆、佛山
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