2020年より審議されていた中国初の「個人破産条例」が深センで3月1日に施行開始し、行政機関である破産管理局も発足しました。
残債が免除されるまでに3年間の行動制限が課せられるなど条件は伴いますが画期的な条例です。当条例施行に伴い専用のWeChatミニプログラムもローンチされ、オンラインで申請が可能です。
個人破産条例概要
深圳市中级人民法院は3月1日に、中国初の個人破産制度となる《深圳经济特区个人破产条例》の開始を発表しました。そして同日に中国初の個人破産行政機関「深圳市破产事务管理署」(破産管理局)も設立され、式典が深圳市司法局で行われました。
これにより暴力的な取り立てなどを未然に防ぐことができ、資源の再配分を効率的に実現することができます。
さかのぼること2020年の8月26日には、深圳市六届人大常委会第四十四次会议(第6回深セン市人民代表大会常務委員会第44回会議)で、深セン経済特区の個人破産に関する規定が採決されていました。
法務委員会主任の刘曙光氏は、不幸にも借金危機に陥った場合、誠実で信頼できる債務者のみが個人破産制度で保護されると強調しました。 債務者の悪質な債務逃れを防ぐため自己破産制度の適用には厳しい条件があり、残債が免除されるまでに3年間の行動制限があります。
制限事項等
当条例では没収を免除される財産の累計額は20万元が上限です。債務者とその家族の基本的な生活必需品の保護、個人消費、家族の扶養、子供の就学、医療費、賃貸住宅の費用などを含めて上限20万元(3人家族なら20万元あれば1年間暮らすのに十分な額)が残されます。
免除された財産に加え、借金返済のための全額持ち出しや、3年以内の高額消費は認められません。上場企業、非上場公開企業、金融機関の役員、監督者、幹部の地位は認められず、ー千元以上の借入や同額の融資を申し込む場合は、貸金業者や信用供与者に自己破産の申告をしなければなりません。
自己破産申請システム「深・破茧」WeChatミニプログラム
深圳法院(裁判所)の個人破産プラットフォームがオンライン化されたことにより、財産の免除、財産の管財、管財人規定、破産情報の登録と開示など支援措置のシステムが形成されました。
個人破産申請システムは、3月1日に正式に稼働した「深・破茧」と呼ばれるWeChatミニプログラム。
このミニプログラムとWebページのシステムプラットフォームは同時に開発され、申立、クレーム申告、管理者推薦、財産申告、進捗照会、情報伝達などのオンライン機能を構築。複雑な情報資料のオンライン入力と提出を実現しました。
「失敗に寛容」な深セン市
今回の施行により、深セン市は"試験的破産制度"の最初の試験場となりました。
周辺国・地域(香港、台湾を含む)ではすでに個人破産の法整備はありますが、中国内陸ではこれが初めてとなり、深センが先陣を切った形となりますね。
スタートアップの支援も行い、失敗に寛容な姿勢を見せている深セン市。当制度によってどのような効果があるか注目です。
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