4月12日に、香港行政府は新たな入国制限の緩和を発表しました。その中には中国本土に滞在する外国人にも関係する「来港易」というスキームも含まれており、これにより中国本土の外国人も隔離なしで香港への入境が可能になります。
「来港易」の実施は5月中旬を予定。深センから香港空港を自由に利用できる日はもうすぐ…!
目次
香港行政府発表内容(概要)
香港行政長官、林鄭月娥(キャリー・ラム)氏は、検疫措置の緩和に関する4月12日の記者会見で、過去3日間に香港で新たな原因不明の症例が発生していないことや、ここ2週間の1日平均の確定症例数は2例、原因不明症例数は0.7例で、リスクの低い地域となっていると述べました。
その点を踏まえ、ワクチンを接種した香港への到着者に対する入国制限をさらに緩和し、強制検疫期間を低リスク地域では7日間、中リスク地域では14日間に短縮する予定です。 ワクチン接種が完了した香港人は「トラベルバブル」への参加が認められます。(「ワクチン接種完了」とは、2回の接種が完了し、さらに14日後に抗体が産生されている状態のことを指します)
政府の専門家アドバイザーである許樹昌教授は、流行は収束の兆しを見せているものの、香港には目に見えない感染の連鎖が存在していること、リバウンドの原因となるような集団発生を再び起こさないことが重要であるとし、社会的距離の措置をさらに緩和することは困難であると述べています。
緩和措置(抜粋)
在香港日本国総領事館で公開された、4月12日の香港行政府による緩和措置を抜粋して掲載します。(特に広東省在住の日本人に関係する点は赤字にしています)
1 14日(水)に期限を迎える現在実施中の各種防疫措置を、4月28日(水)まで14日間延長する。
2 上記の延長された期間を準備期間とし、その後、市民のワクチン接種等を条件とした各種措置の緩和(いわゆる「ワクチン・バブル」)を以下の方針で実施する。
(1)香港域内の規制措置
(ア) 飲食店
○第一段階:全従業員がワクチン1回目を接種、全顧客が「LeaveHomeSafe(安心出行)」アプリを利用した場合、1卓利用を6名まで、店内飲食を午前0時まで可とする。
○第二段階:全従業員がワクチンを2回接種、全顧客がワクチン1回目を接種しかつ「LeaveHomeSafe(安心出行)」アプリを利用した場合、店内特定エリアで1卓利用を8名まで可とし、また宴会人数を100名まで、店内飲食時間を午前2時まで可とする。
○第三段階:店内の特定エリアでワクチン2回接種済みの顧客だけを対象とする場合、1卓の人数制限をさらに緩和する。
(イ)営業停止中の特定施設
ワクチン接種を条件に、営業停止中の特定施設(バー、サウナ、パーティールーム、ナイトクラブ、麻雀店、カラオケ店)の営業を徐々に再開可能とする。
(ウ)その他の各種活動
ワクチン接種を条件に、以下の活動の制限を緩和する。
○入院患者や老人ホーム入居者との面会
○結婚式
○企業の年次集会
○域内グループツアー
(2)域外との出入境等規制措置
(ア)海外から香港への入境:
○海外低リスク地域(シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド)からのワクチン接種済み入境者の検疫期間を14日から7日に短縮。
○海外中リスク地域(日本を含む)からのワクチン接種済みの入境者の検疫期間を21日から14日に短縮。
○英国からの航空機への搭乗規制を5月上旬に撤廃。但し入境後21日間の検疫を実施。(イ)香港居民の出境等:
○ワクチン接種済みの香港居民は「エア・トラベルバブル」に参加可能。
○ワクチン接種済みの香港居民は他国での検疫期間短縮の利用が容易になる。
○広東省政府との間で、ワクチン接種済みの越境貨物車輌の運転手に対する検疫免除やウイルス検査義務の緩和について合意。(ウ)Return2hk(回港易)(広東省から香港居民が入境する際の検疫を免除するスキーム)
○4月末までに対象地域を中国本土の他地域にも拡大。
○5月より、非香港居民の中国本土居民が入境する際の検疫を免除する新たなスキームとして「来港易」を実施。
○防疫関係(香港)
1 レストラン等飲食店:午後10時~午前5時の店内飲食禁止。1卓4名まで。バーは営業停止。
【 ~4月28日(水)】2 スポーツ施設(室内外)、ジム、エステ・ネイルサロン、マッサージ店 、娯楽施設(劇場、テーマパーク、博物館、展覧会場、映画館等)、遊技場(ビリヤード場、ボーリング場、スケート場)、ゲームセンター、プール:条件付きで営業
【 ~4月28日(水)】サウナ、パーティールーム、ナイトクラブ、カラオケ、麻雀店、:営業停止。
【~通知があるまでの期間】3 マスク着用義務:屋内外公共場所、交通機関
【~4月28日(水)】4 集団制限:公共の場所で4人まで
【~4月28日(水)】
○出入境関係
1 海外から香港へ入境:香港居民(香港IDもしくは査証保有者)のみ入境可。ただし、入境後21日間の強制検疫。
【~9月30日(木)】2 中国本土、マカオ、台湾から香港への入境:香港居民、非香港居民ともに入境可。ただし、入境前21日間連続して中国本土、マカオ、台湾に滞在する場合は入境後14日間の強制検疫。入境前21日間にこれら以外の外国・地域(シンガポール、オーストラリア及びニュージーランドを除く)に2時間以上滞在歴のある場合は21日間の強制検疫を受ける。シンガポール、オーストラリア及びニュージーランドからの入境者は14日間の強制検疫を受ける。
なお、香港居民については、過去14日以内に香港、広東省、マカオ以外の滞在歴がなく、事前の申請や核酸検査陰性証明の取得等の手続きを実施した場合は、入境後14日間の強制検疫が免除となる「回港易(Return2hk)」スキームを利用することができる。
【~9月30日(木)】3 マカオへの入境:マカオ居民(マカオID所持者のみ)、事前に免除許可を得た上で、連続して21日以上中国本土に滞在した後中国本土からマカオに入境するブルーカード保持者等の外国人及び香港永久ID保持者のみ入境可。ただし、入境後14日間の医学観察と事前の核酸検査陰性証明の取得が必要。
【無期限】4 香港国際空港は、同一航空券での搭乗に限りトランジット可。ただし、中国本土行きのトランジットは不可。マカオ国際空港はトランジットサービス停止。
【無期限】
「回港易」「来港易」とは?
上述の文中に、「回港易」「来港易」という言葉が出てきました。これらの用語は以下のように説明されます。
- 「回港易」とは、広東省以外の本土の省や市の香港人にも、香港に戻る際に14日間の検疫を免除する仕組みのこと(ワクチン接種不要/PCR検査要)
- 「来港易」とは、中国本土に居住・就労しているすべての人を対象に14日間の検疫を免除する仕組みのこと(ワクチン接種不要/PCR検査要)
4月末に「回港易」、5月中旬に「来港易」
4月末からは、「回港易」が中国本土の他の省や市にも拡大され、5月中旬からは、「来港易」により、中国本土の人々は14日間の強制検疫期間なしに香港に入国できるようになります。
「来港易」により、深センから香港空港を全面的に利用可能に!
特に、中国本土に滞在している日本人にとって重要なのは、この「来港易」です。
深センから隔離なしで香港に出られるようになっても、香港から戻るときに14日間の隔離は(広東省はこの件についてまだ言及していないため)現時点では継続されます。そのため観光などで深センから香港に出た後また深センに戻るのは現実的ではありません。
しかし、深センから隔離なしで香港に出られるなら…そうです。香港国際空港から日本行きの便に乗ることが可能になります。現時点でも深セン蛇口から香港空港に出航しているフェリーは利用できますが、時刻の制限があるためリスクは高い状態でした。
「来港易」は、香港における感染が悪化しなければ5月に施行される見込みですので、まだ確定ではありませんがようやく兆しが見えてきましたね。このまま感染が落ち着いて外国人が中国本土と香港を自由に行き来できることを切に願っています。
Source:
香港经济导报社:香港5月将推“来港易” 合资格内地居民来港免隔离
香港薈:港府提明確時間表:4月底擴「回港易」 5月中開「來港易」