深センでは新たなショッピングモールが次々と誕生する一方で、地元のスーパーマーケット「人人楽」(REN REN LE)の閉店が相次いでいます。
かつては「広東省のスーパーマーケット三大巨頭」と呼ばれていた人人楽ですが、半年で19店舗閉鎖、予想損失額は3億元以上と言われています。
「人人楽」とは
人人楽(人人乐/REN REN LE)は、かつて「华润万家」「新一佳」と並んで「広東省スーパーマーケット三大巨頭」と呼ばれ、ウォルマートやカルフールなどの国際的な小売大手と真っ向勝負した深セン唯一の地場民間企業でした。
1996年7月に第一店舗をオープンした南山区の人人楽超市(南油购物广场)では、1日の売上高は6万元にも達したほどの盛況ぶり。商品の配置、スタッフの管理など海外のスーパーマーケットの手法を取り入れ、拡大していきました。
順調に成長を続けてきた人人楽は、2010年に深圳証券取引所に上場しました。売上高は100億元を超え、店舗数も100店舗を突破。しかし2012年の129億元をピークに業績が悪化し、2016年と2019年には2回上場廃止の警鐘を鳴らされたこともありました。現在の株価は、当初の高値から80%も下落しています。
2021年上半期には19店舗を閉鎖と発表
7月8日、人人楽は2021年上半期に19店舗を閉鎖したと発表。2007年にオープンした南水店も蛇口エリアの最初で最後の人人楽として2021年3月に14年の幕を閉じました。
人人楽は地元の人にとっては子供の頃からの思い出が詰まっており愛着もあるスーパーなので「閉店したらどこに買い物に行けばいいのかわからない」「毎日の夕食の材料をここで買っていたので閉店はとても悲しい」と嘆く人も多いようです。
小売業のダークホースだった人人楽は数年前から次々と店舗を閉鎖しています。2018年から2020年にかけて人人楽は計12店舗を閉店しましたが、2021年上半期の閉店数は過去3年間の総閉店数を上回っています。
以下は2021年上半期に閉店した19店舗のリストです(黄色の行は深セン市内の店舗)
人人楽に何が起きているのか
閉鎖の主な理由は、一部の店舗の賃貸契約が切れて更新できないことや、売上の減少が続いていることなどで、回復の見込みがない長期的な損失となっていたことが挙げられます。人人楽の店舗は一般的に大型で2階建てのものも多く、高額な家賃がかかります。そのため売上が悪いと大抵の場合は赤字になってしまいます。
今回の19店舗の閉鎖により6,500万元の損失が発生し、2021年上半期には3億2,000万元から3億7,000万元の損失が予想され、昨年と比較して2倍以上の損失となる見込み。
人人楽はウォルマートなどの他のスーパーマーケットと比べて価格が安く人々の生活圏内にあるのが利点でした。その反面、「種類が少ない」「高級感がない」というデメリットもあるようです。
ちなみに、人人楽には高級スーパー「Le Super」もあります。 こちらは通常営業中。
伝統的な小売企業は転換を迫られる
現在、百貨店やスーパーマーケットを中心とした伝統的な小売企業の多くが苦境に立たされており、あらゆるものがネットで入手可能な時代にあって変革を切実に必要としています。
人人楽だけでなく、像永辉(Yonghui)や联华(Lianhua)などのスーパーマーケットも同様に、単一店舗の持続的な収益方法を模索する必要に迫られているようです。
一部の投資家は、人人楽の大規模な赤字店舗の閉鎖は長期的には益となるため楽観視しているようですが、長い間地元に住んでいる深セン人にとって人人楽は思い出の場所なので存続してほしい気持ちもよくわかります。
Source:
深圳生活情报局:深圳又一门店关闭!半年关店19家,预计亏损超3亿,人人乐怎么了?