フードデリバリーなど生活関連サービス大手の美団が、深セン地下鉄、万科と共に、世界初のドローン配送商圏を深センに構築中です。
場所は深圳湾超级总部基地内にあり、都市の低空物流ネットワークの自動発着施設を作ります。深センがますます未来都市に変わっていきますね。
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美団のドローン事業は2021年世界人工智能大会で公開
美団(Meituan)のドローン事業は、7月8日に上海で開催された「2021年世界人工智能大会(WAIC)」で詳細が公開されて話題となりました。当大会では、美団と上海金山区政府が初の都市型低高度物流運営実証センターを共同で建設する契約を正式に締結しています。
美団は2017年にドローン配送サービスの検討を開始。2021年からは深セン坪山区と竜崗区でさらに多くのドローン配送サービスの商業試験運用を行い、ユーザーに即時配送サービスを提供する着陸作業を実際のシナリオに落とし込んでいるそうです。6月の時点で美団のドローン(美团无人机)は22万回以上の飛行テスト、60万分以上の運用を完了しており、2,500件以上の注文を完了したとのこと。
世界初のドローン配送商圏は深圳湾超级总部基地内に
美団は、世界初の「无人机配送商圈」(ドローン配送商圏)を深圳地下鉄(SHENZHEN METRO)と万科集団(Vanke)と共に構築します。
なぜ深圳地下鉄も含まれているのかというと、深圳地下鉄と万科集団は初の地下鉄超高層プロジェクト「SIC超级总部中心」を共同で開発し、2014年12月に着工。このSIC超级总部中心と美団がドローン配送商圏の試験的な実証協力に関する契約を締結したというわけです。
SIC超级总部中心の場所は、深セン市が力を入れている「6大本部基地」の一つである深圳湾超级总部基地の超高層複合施設の一部となります。
「SIC超级总部中心」概要
SIC超级总部中心の計画総投資額は153億元、土地面積は約5万4,000平方メートル、建設面積は約60万平方メートル。メインとなる超高層タワーは高さ358.7m、地下4階、地上79階。
3本の地下鉄路線(2号線、9号線、11号線)に隣接したプロジェクトで、地下鉄やバスの接続などの交通機能が統合されたTODの上部構造物件となる技術的にも難易度の高い建設となります。事業形態は、本社オフィス、商業施設、ホテル、文化施設などが予定されています。
美団はSIC超级总部中心と共に、都市の低空物流ネットワークの自動発着施設を建築設計に統合します。
深圳市万科发展有限公司の執行総経理である宗卫国氏は「美団社との共同作業により、世界初の試験的なドローン配送商圏の実施を推進することで、周辺住民やオフィスワーカーの即時的な消費ニーズをよりスマートに満たすことを目指す」と述べました。
ショッピングモール最上階からドローン配送
美団は周辺3キロの住民のニーズに応えるなど、ドローン配送の着地応用を模索していきます。 ユーザーは「美団」アプリを開くと、最短10分でSIC超级总部中心からデリバリー商品を受け取ることができます。
ShenzhenDailyの記者が美団アプリで基地から近隣のショッピングモールのタピオカミルクティーを6杯注文したところ、美団の配達員がミルクティーを店頭から受け取り、ショッピングモール最上階にあるドローンの離着陸場に送り、2台のドローンのボックスに積み込みました。
ショッピングモールは基地から約1.3km離れた場所にあり、基地とモールの間には学校があるため上空を飛行しないように迂回しています。その結果ドローンがモールから基地までミルクティーを届けるのに3分49秒かかったとのこと。迂回を必要としないエリアであればもっと早く届けることができそうです。
ドローンだけでなく無人配送車も開拓中
美団社は、ドローンに加えて無人配送車の分野も開拓中。 2018年3月に無人配送車の試験運用をスタートし、2021年4月には新世代の無人配送車「魔袋20」を発表。衝突検知と衝突防止機能を搭載し、路上走行時は歩行者や信号機を識別して配送業務を無事に完了できるようになったようです。これまでに、同社の無人車両による配送サービスは20以上のコミュニティをカバーし、合計35,000件の注文を届け、自動操縦で約30万キロを走行してきました。
美団ドローン事業の責任者であるChu Zheng氏は、新型コロナの大流行により、同社の無人配送システムの研究開発が加速しており、サービスの選択肢として非接触型配送も検討していくと語っています。
近い将来にはもしかしたら美団ドローン+無人配送車の最強の組み合わせを目にするかもしれませんね。
Source:
ShenzhenDaily:Meituan’s drone delivery gets off the ground in SZ