10月6日、香港行政長官、林鄭月娥(キャリー・ラム)氏は2021年施政報告の中で、香港と深センの境界近くに巨大な新都市を建設する計画を発表しました。
計画によると、深センに近い香港北部に生活、仕事、観光に適した300平方キロメートルの都市圏を建設します。この北方都市は、20年後に250万人の人口を抱えるようになり近隣の深センと密接に交流することになるとのこと。
かなり大規模な当計画の詳細部分は今後シリーズ化してお伝えします。
「北部都会区発展策略」報告書
キャリー・ラム行政長官が行った施政報告の主な要点は以下の4点。
- 香港北部に生活、仕事、観光に適した300平方キロメートルの都市圏を建設する
- 深セン・香港口岸の経済圏(深港口岸経済帯)を西から東までカバーし、地方も開発
- 香港と深センが相互に補い合い優位性を保ち、全体的な発展の中で融合していくのを助ける
- 北部都市圏全体で90万5,000~92万6,000戸の住宅数を確保
10月6日に発表された「北部都会区発展策略」は、香港特別行政府行政長官2021年施政報告の特設ウェブページに詳細資料(PDF)が公開されています。
香港の本気を感じるかなり大規模なこの計画、深センのメディアもほぼ毎日関連情報を報じています。
大湾区における人口分布・GDP
まず、当資料には現在の大湾区における人口分布およびGDPについて記載されています。
突出しているのはやはり深セン・広州・香港ですね。
- 深セン:
面積ー1,997平方キロメートル
人口ー1,756万100人
GDPー2兆7,670億元(一人あたりGDPー15万8,000元) - 広州:
面積ー7,434平方キロメートル
人口ー1,867万6,600人
GDPー2兆5,019億元(一人あたりGDPー13万4,000元) - 香港:
面積ー1,110平方キロメートル
人口ー747万4,200人
GDPー2兆6,885億香港ドル(一人あたりGDPー35万9,000香港ドル)
「双城三圈」
資料内には、「双城三圈」(2つの都市と3つのサークル)というワードが書かれています。「2つの都市」とは香港と深センですが、これらの都市を取り巻くのが以下の3つのエリアです。ここで密接な開発サークルを形成していくというもの。
- 「深圳灣優質發展圈」(宝安ー深圳湾)
- 「港深緊密互動圈」(福田ー羅湖)
- 「大鵬灣 / 印洲塘生態康樂旅遊圈」(沙頭角ー大鵬半島)
「両湾一河」
香港と深センの間には「両湾一河」(深圳湾、大鵬湾、深圳河)というユニークな地理上の隔たりがあるのは有名な話ですが、香港側には広大な養魚池、湿地帯、森林、そして点在する伝統的な村々などがあり、歴史的な理由から広大な未開発の土地と豊かな生態系資源も保存されています。
北側の深センは福田と羅湖により、そして南側の香港は今回新しく建設される北方都市により、相互に協力してイノベーションを引き起こしていくことが期待されています。
北方都市計画により、香港の中心は北に移動へ
では、どのような開発が行われていくのか?
当計画は既存のニュータウン計画を再パッケージして拡張したものとなりますが、大きくまとめると以下の3つに分けられます。(詳細は次の記事でお伝えします)
1、香港の中心を香港島から北に移動させる開発計画「新田科技城」
2、香港と深センの入出境管理施設(口岸)の「一地両検」化と鉄道駅乗り入れ、周辺湿地帯など約2,000ヘクタールの地域の環境保全
3、香港と深センの経済圏である前海を結ぶ新しい越境鉄道「港深西部铁路」
今までは南側の比重が強かった香港ですが、今回の大規模プロジェクトにより大きな変化が生じることになり、中国本土・深センとの連携も強化されることに。次回はその要となる「新田科技城」について特集します。
ExpatHub:Hong Kong to build huge new city on border with Shenzhen
Shenzhen Daily:HK unveils metropolis plan, eyes deeper SZ-HK integration
深圳特区报:香港提出港深融合大动作!拟建300平方公里北部都会区
深圳卫视深视新闻:林郑月娥释放重要信号:从“香港所长”到“港深所长”