2022年の北京オリンピック開会式前に見事なドローンショーを演出した深センですが、深センの技術はそれだけではありません。聖火台となったオリンピックのトーチやスケート競技場の氷を最速で作るための技術に至るまで深センが活躍しています。
冬季五輪仕様のダンスロボット
開会式パフォーマンスで目立ったのはドローンだけではありません。56カ国の衣装をまとったロボットが歌い、踊り、音楽に合わせて国旗を振り、選手に変身してスキーやボードの動きを見せた姿を披露していました。
これは、南山区にある优必选(UBTECH) という有名なハイテク企業による冬季五輪仕様のロボットです。
深センのデザインチームによる五輪の聖火トーチ
開会式の中でも「まさかのトーチが聖火台に!」とひときわ話題となった聖火台ですが、実はこのトーチ「飞扬」は、アリババ天猫(Tmall)精灵の深センデザインチームによってデザインされました。
トーチは、リボンが舞うような形で工業デザインの枠を飛び出していました。吴光浩氏、洪文明氏、李文思氏の3名でなるアリババの若手デザイナー達による、火と氷の出会い、情熱の飛翔を象徴した設計案が最終的に採用されたとのこと。
スピードスケート競技場の "最速の氷 "作成技術
北京冬季オリンピックの象徴であるスピードスケート競技場「冰丝带」は、約12,000平方メートルの面積を持つ全面氷上の設計となっています。
当スケート場では、「最速の氷」をつくるため、また製造後の氷の表面温度を均一にするために、氷の表面の水平度を5mの範囲で±3mm以内という高い基準を設けているのだそう。この目標を達成するためには、高効率で高精度な水平度測定装置が急務となります。
ここで活躍したのが、深圳大学の動的精密工学測定チーム。慣性測定法を利用して地面の局所的な高さの起伏を正確に測定し、慣性測定の補助技術で試験結果の位置決めを行い、特大氷面のコンクリートの下地の平坦度の評価を迅速に達成することを提案。
工事期間中のコンクリート氷の下地の正確な水平出しを支援するため、専用の装置と平板型慣性水平測定ロボットを開発しました。加えて地面の相対的な高さを測定し、全体の水平度を評価するために、車輪付きの慣性平準化ロボットを発明したのだそう。
冬季五輪用レーザー光線
深センでは、開会式前のイベントでレーザー光が雲に向かって発射され、雲に「五輪」のロゴが描かれました。この技術は南山区の企業「光峰科技」によるものです。
投影装置は、光峰科技が独自に開発した「ALPD®」レーザーディスプレイ技術を採用。超長距離投影技術を重ね、従来の投影技術の距離制限500mを破り、最大3000mの距離を10万ルーメンの明るさで、雲の中まで映像を鮮明に映し出せるようになったのだそう。
他にも、パノラマ全立体メディア技術によるオリンピック会場可視化システムのデータ収集に深圳大学の写真測量チームが関わるなどの技術サポートが行われている模様です。
北京オリンピックの報道はスポーツや政治の側面から行われることが多いですが、このような技術面の情報を知るのも面白いですね。
Source: