8月5日、広東省自然資源庁は広東省都市圏国土空間規則ガイドラインを通知。中でも「深セン都市圏」は、深センを中心として東莞市全域と恵州市(一部除く)を巻き込んだ放射状の巨大なエリアとして注目されています。
特に交通インフラ整備に重点が置かれており、近隣大都市まで1時間通勤圏を実現。香港北部都市との連携も強化されます。
目次
広東省都市圏国土空間規則ガイドラインとは
広東省自然資源庁の発表した《广东省都市圈国土空间规划协调指引》(広東省都市圏国土空間規則ガイドライン)とは、人口、土地、施設などの要素に基づく空間計画において調整すべき範囲と重要ポイントを明らかにするもので、广州都市圈、深圳都市圈、珠西都市圈、汕潮揭都市圈、湛茂都市圈を範囲とします。
深圳都市圈の範囲
深圳都市圏は、深圳市(深汕特别合作区含む)、東莞市全域、惠州市(惠城区、惠阳区、惠东县、博罗县)を統括しますが、これらの範囲内の空間計画、生態系、農業、交通システム、公共サービス施設、工業地帯について具体的なガイドラインが示されます。
この中で深圳都市圏は “一主两副七廊多节点” の多中心分布式構造となり、周辺エリアを牽引して放射し、都市圏の総合量を高める重要なエンジンとみなされています。これにより、深圳都市圏の交通と産業の融合が加速され、将来の産業の発展も大いに期待できるのだそう。
「一主」:深圳福田区・羅湖区、南山区、宝安区からなる都市圏の中核をなす地域
「两副」:東莞・恵州の中心部
「七廊」:次項「三横四纵」を参照
広東省自然資源庁は、空間計画はまだ準備段階だとコメント。中国(深圳)综合开发研究院副院長の曲建氏いわく、当ガイドラインは「市と県の領土空間計画を作成する際の参考とすることを目的としている」のだそう。
交通インフラ
深圳都市圏の空間計画範囲は13,977平方キロメートルとなりますが、特に重要なのは交通インフラ。今後はこのガイドラインに基づいて構築されていくことになるようですが、具体的には“三横四纵”(横3縦4)と表現されています。これは前述の“一主两副七廊多节点”内の“七廊”と同様です。
“三横四纵”
高速鉄道、都市間鉄道、郊外急行線の複合輸送回廊を基盤とする深圳都市圏。“三横四纵”の意味は以下の通り。
「三横」とは
- 深圳地下鉄2号線と5号線が形成する軌道と、深珠通道ー南坪高速ー盐排高速の形成する総合交通回廊。深圳都市圏の中核機能を結ぶ主要回廊。
- 深圳地下鉄18号線(計画中)と深圳外环高速。深圳周辺部の5つの新都市と重要なプラットフォームを結ぶ主要輸送回廊。
- 中南虎城际(予定)と常虎高速延长线ー佛莞高速で形成される総合交通回廊で、東莞南部の9つの鎮を結ぶ主要な交通回廊。
「四纵」とは
- 西部沿海走廊
- 中部隧洞走廊
- 东部谷地走廊
- 东部盆地走廊
9つの主要鉄道拠点
また、深圳、東莞、恵州の中心部にある以下の9つの駅を主要鉄道拠点が指定されています。
深圳市
- 深圳北駅
- 深圳駅
- 西丽(西麗)駅
- 深圳机场(空港)駅
- 坪山駅
東莞市
- 東莞東駅
- 第二高铁駅
恵州市
- 恵州駅
- 恵城南駅
加えて、主要な航空・海上輸送施設の建設を加速し、深セン、東莞、恵州における航空・海上資源の統合を強化します。
「1時間通勤圏」の形成
現在深センは地下鉄14号線の開通を控えており、深大城际铁路という都市間鉄道も計画・建設中。これにより将来的には深圳への1時間通勤圏が実現すると期待されています。
特に羅湖区は「30分、45分、60分」の交通圏構想に取り組んでいます。羅湖を中心として、都市の周辺群(坪山、大亜湾)には30分で、深圳に隣接している都市(東莞、恵州)には45分、大湾区の中核都市(広州、中山、珠海など)には60分で到達することを目指しています。
2035年の羅湖区における鉄道網予想レイアウトは、3つの主要鉄道(深汕高铁、广深铁路、赣深/厦深笋岗动走线)、2つの都市間鉄道(深汕城际、深惠城际支线)、13の都市鉄道線(累積長73.9km [80.3km]の44 [47] 駅)なのだそう。
公共サービスセンターの設置
公共サービスの分野では、深圳都市圏に“1+2+N”公共センターシステムを構築することが提案されています。
- 1個のメインとなる都市圏レベルの公共サービスセンター
- 2個のサブとなる都市圏レベルのセンター
- N個の重要プラットフォームと区・県公共サービスセンター
これにより、一部の地域で見られる公共サービスの不足を補い、公平な資源配分とサービスを提供できるようにすることを目指しています。
3都市間の産業協力は進行中
現在、深圳都市圏内の3都市間(深圳・東莞・恵州)の産業協力はすでに始まっています。例えばファーウェイは本社を深圳に置き、携帯電話端末の拠点を東莞に設置。バッテリーやアンテナ、スクリーンなどのサプライヤーは恵州にあります。
BYDは深圳に本社があり、恵州大亜湾に多くの電子部品やバッテリーの生産拠点があります。
深圳や東莞の産業が発展していることは周知の事実ですが、恵州は当ガイドラインの中で21回も言及されていることから、恵州の産業の潜在力が非常に大きく、今後は「深センとの融合」に期待していることがわかります。
香港北部との連携も強化
深圳都市圏は、香港北部との発展戦略とも連携を強化します。
金融・専門産業サービスにおける両都市の優位性を十分に発揮し、金融サービス、生産サービス、商業ビジネスの現代サービス産業体系を形成するとともに、製造クラスター、技術革新プラットフォーム、現代サービスセンターなどを引き続き推進して協力を深め、地域の相乗作用を通じて価値チェーンの全体高度化を促進していきます。
香港の北部都市発展計画については以下の過去記事をご覧ください。
Source:
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