今年1-2月に行われた調査によると、深センで年収20万元(約418万円)以上を稼いだ女性の割合は41.88%で、北京、上海に次いで3位となりました。
雇用登録された全体の80%近くが他都市からの出稼ぎ者で成り立っている深セン市では、男性よりも女性の戸籍人口が多く、近年における新たな移住者の女性比率も55%と男性を上回っています。
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北京と上海は年収20万元以上の女性人材が半数以上
2024年1~2月に行われた、リクルーティングサイト「猎聘」の《2024女性人才数据洞察报告》(2024年女性人材データ調査レポート)によると、女性人材の割合が最も多い上位20都市のなかで、北京、上海、深圳、杭州、広州の5都市は、年収20万元以上の女性の割合が30%を超えました。
北京:52.53%
上海:51.46%
深セン:41.88%
杭州:34.68%
広州:30.79%
給与帯別に見ると、北京は30万~40万元、40万~50万元、そして50万元以上の女性の割合が全国トップとなり、上海は年収20万~30万元の女性の割合が21.31%と最も多いとのこと。杭州は今までも豊かな都市でしたが、近年は特にインターネットと人工知能産業の急速な発展により女性の給与も向上しているのだそう。
女性と男性の給与格差が縮小
中国全体において女性の平均月給は上昇中で、男女の給与格差は過去5年間で徐々に縮小しており、2019年の30.90%から2023年には26.20%となりました。最近の平均年収は、男性が24万2,200元、女性が19万2,100元で、男性の方が女性よりまだ高いものの、その差は徐々に縮まっていることがわかります。
特に、一流産業における男女人材の平均年収は、IT・インターネット・ゲーム、不動産・建設、消費財、ヘルスケア、専門サービスの5産業において5年連続で男女間の給与格差が縮小し続けている模様。
過去1年間の男女求職者の検索キーワードTOP50を比較すると、男性には国内の新エネルギー自動車企業、特に比亜迪、理想汽車、亜洲汽車、吉利汽車、小鵬汽車が人気でした。一方で女性はワークライフバランスを追求する人が多く、外資系企業を重視する傾向があるようです。他にも、男性はエンジニアのような技術職を好む傾向があり、女性はペットや教師のような情緒的な仕事に関心があるとの結果が出ています。
また、意外にもAICG(生成AIコンテンツ)の分野においても女性の進出が見られています。過去1年間(2023年3月~2024年2月)で、AICG関連のプロダクトマネージャー、マーケティング、ブランディング、コンテンツ、デザイン、オペレーションなどは、女性が得意とする分野として人気なのだそう。また技術的な敷居が高いアルゴリズムエンジニアも上位にランクインしています。これは、女性人材のAIGC分野に対する知識が深まり、AIGCスキルを習得する女性が増えていることを示していると分析されています。
4割以上が未婚の職場、出産後の復職も増加
《2024年中国女性职场现状调查报告》「2024年中国女性の職場実態調査報告」によると、職場の未婚者の42.8%が「結婚を催促されるが相手がいない」ことに悩んでいるのだそう。男女別では、男性の50.8%がこの悩みを抱えており、女性の35.8%を上回っています。
また、職場にいる女性の30.9%が勉強に励み、18.2%が副業でお金を稼ぐのに忙しく、北京、上海、深圳、広州などの都市では、副業で稼ぐことに忙しい女性が多いという結果も出ています。
既婚で子どもがいる女性のうち、「専業主婦だったが、自己実現のために今年復職した」と答えた人は19.7%で増加傾向にあります。北京、上海、深圳、広州は就職先が多いために「フルタイムマザー」の職場復帰率が高いようです。経済的負担を軽減するために復職した専業主婦は19%、仕事が好きだから復職した専業主婦は16.2%でした。
深圳では79%にあたる995万人が他都市からの出稼ぎ者
深センでは、2023年に年収20万元以上を稼いだ女性の割合は41.88%で、北京、上海に次いで3位となりました。
2023年に、15万6,700人が他都市から深圳に定住してきました。2023年末までに深圳で雇用登録された人の数は1,255万9,500人となり過去最高を記録。そのうち995万5,000人は深圳市民以外の人でした。79%が他都市からの出稼ぎ者ということになります。
深圳の戸籍人口比率は女性の方が多い
こちらは2022年のデータですが、《2022年深圳市社会性别统计报告》によると、2022年の深センの居住人口は1,766万1,800人で、そのうち女性が44.9%を占め、793万900人となりました。深圳市の戸籍人口は657万7,700人ですが、そのうち男性は49.3%の 324万2,600人、女性は50.7%の 333万5,100人です。
また、女性の方が深圳に定住することに積極的なのだそう。2022年に深圳に移住する新世帯のうち、総移住者数は22万900人で、そのうち女性は12万1,800人でした。女性の割合は55%と男性を上回っています。
そして、深圳市の2022年中共会員数は73万3,700人ですが、そのうち女性は29万1,700人で、39.8%を占めています。女性は市党大会代表の36.0%、市人民代表大会代表の29.5%、中国人民政治協商会議市委員会委員の22.2%とのこと。
深圳に移住し、戸籍を取得する女性の数が男性より多いのは興味深いですね。確かに街中は若い女性をよく見かけます。交通機関や公園の整備など、女性が生活しやすく働きやすい環境へと変化している点も大きな要素かもしれません。
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