大ブームのアクションRPG「黒神話:悟空」、開発元は深センで夢をつかむ

8月20日に発売されて以来中国全土でブームとなっている、西遊記を題材としたアクションRPG「黒神話:悟空」の開発元が、深センのメディアで話題となっています。

この会社は、元テンセントのメンバーによって深セン市内に設立された「ゲームサイエンス」社。スタートアップがこのような大作ゲームを開発するには様々なハードルをクリアしなければなりませんでした。

「黒神話:悟空」は業界最速ペースで1000万本の売り上げを達成

『西遊記』を題材としたアクションRPG「黒神話:悟空」(Black Myth: Wukong)は、中国各地の有名な遺跡をライブスキャンし、中国文化の特色を強く打ち出したものとして注目を集めています。また、金・人・最新技術を惜しみなくつぎ込んだ中国初の国産AAA(トリプルA)ゲームとしても話題です。

Image via 第一现场&壹深圳

「黒神話:悟空」が8月20日に発売されてから3日後の中国時間23日夜には、販売本数が1000万本に到達したと発表されました。ピーク時の同時接続ユーザー数は300万人に達しています。

ゲームの発売初日には社員がゲームを体験するために半休や全休を発表したゲーム企業が続出。中には社員に「黒神話:悟空」を支給した会社もあるのだそう。瑞星珈琲(ラッキンコーヒー)ではゲームとのコラボ商品を発売しています。

image via 第一现场&壹深圳

Bloomberg News:中国製ゲーム「悟空」、業界最速ペースで1000万本売り上げ

GIGAZINE:「黒神話:悟空」がわずか83時間で1000万本を販売しPS5本体も売り切れ、エルデンリングやホグワーツ・レガシーを超える勢いで既に推定4億5000万ドル以上の収益

開発元は深センの「Game Science」、創業メンバーは元テンセント

当ゲームは、テンセント・ホールディングス(騰訊)の支援を得て、ゲームメーカー「游戏科学」(ゲームサイエンス/Game Science)が発売。

この会社の正式名称は「深圳市游科互动科技有限公司」で、テンセントの《斗战神》(ゴッド・オブ・ウォー)オンラインゲームのプロジェクトメンバーである冯骥、杨奇と5人の同僚によって2014年に設立しました。現在は南山区西丽街道にあるTCL科学园国际E城に居を構えています。

ゲームサイエンス社屋 Image via 龙岗青年

ゲームサイエンスは携帯ゲームを主な事業として成功を収めていきます。2016年に杨奇は「黒神話:悟空」の制作を打ち出しましたが、一方でもう一人の創業メンバーである冯骥は、チームのリソースが不足しているためまだ時期ではないと主張。その後も制作の話は出たものの話が進むことはなかったようです。

そして2018年、ゲームサイエンスは深センで独立したプロジェクトチームを立ち上げ、杭州游科互动科技有限公司を設立。この子会社が「黒神話:悟空」の開発を行い、深セン側はその資金を得るために携帯型ゲームの開発を行っていたのだそう。

技術面・資金面の壁を乗り越えて発売に至る

しかし「トリプルA」の名作を開発するのは容易ではなかったようです。何年経っても競争力のあるグラフィックを確保するためにUnreal Engineを採用しましたが、そのためにはまずチーム全員がUnreal Engineを学ばなければならず、人手不足にも悩まされ、チームメンバーは昼夜逆転の生活をしていた時期も。

Image via 深圳晚报

創業者の冯骥はインタビューで、「(当ゲームの)1時間あたりの開発コストは約1500万~2000万元で、これを基準にすると研究開発コストは少なくとも4億元が必要だ」と語っていました。ゲーム開発会社として、ゲームサイエンスは2017年から2021年にかけて、エンジェルラウンド1回とAラウンド1回の資金調達を獲得しており、广西腾讯创业投资有限公司(広西騰訊ベンチャーキャピタル)と天津英雄金控科技有限公司が投資を行いました。

深圳の創業は「夢の旅」のスタート

「黒神話:悟空」のゲーム内では、孫悟空が経典を取る旅に出るというストーリーのようですが、地元メディアは深センで会社を創業する様子を同じような旅になぞらえています。

Image via 深圳之窗

「黒神話:悟空」を実際に開発したのは杭州のチームですが、杭州は中国を代表するゲーム都市で、ゲームの研究開発と運営に強みがあり、多くの強力なゲームアート外注企業が集まっています。そのため、コンソールプラットフォームとモバイルゲームの両方のアートコンテンツアウトソーシングサービスを提供することができ、アートコンテンツ制作における大手ゲーム会社のニーズを満たすことができるとのこと。

深圳がハードウェアのエコシステム集積地であるのと同様に、杭州はゲーム産業のエコシステムができあがっているため開発チームが杭州を選んだ理由は理解できます。 しかし、ゲームの開発には資金面のサポートが欠かせません。この点で、深セン側でテンセントと共に資金援助を行いながら杭州で開発を続けるゲームサイエンスの方法は理にかなっていると言えそうです。

Image via 深圳之窗

今回のゲームサイエンスの成功から、今後も若い人々が深圳で創業して夢をつかみ、そのテクノロジーで中国のスピードや文化を全世界に広く普及させることができると期待されています。


Source:

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