12月28日、深セン地下鉄11号線<第二期>が開通しました。
当路線は、国際的なハブ空港として拡張を進めている深圳宝安空港から華強北電子街に直結するとともに、福田区中心部のラッシュアワーの混雑緩和に貢献します。
目次
地下鉄5路線一斉開通
深圳地下鉄開通20周年を迎えた2024年12月28日、以下の5路線が新たに同時開通しました。
地下鉄3号線<四期>「双龙」—「坪地六联」
地下鉄7号線<二期>「西丽湖」—「深大丽湖」
地下鉄11号線<二期>「岗厦北」—「华强南」
地下鉄12号線<二期>「海上田园东」—「松岗」
地下鉄13号線<南段>「深圳湾口岸」—「高新中」
地下鉄11号線
深圳地下鉄11号線は2016年に開通。地下鉄7号線は「V字型」ですが、この11号線は福田区から南山区を抜けて宝安区に伸びる「L字型」の路線です。
11号線は宝安空港に直結する駅があることでも有名で、多数の空港からの乗客に利用されます。車両は8両編成で、そのうち2両は「ビジネスクラス」となっています。
第一期の終点だった岗厦北駅は、福田区から坪山区まで伸びる地下鉄14号線を始めとする5路線が乗り入れる交通ハブ駅です。今回開通した第二期は、この岗厦北駅からさらに東に伸びることで福田区中心部の交通網がさらに改善されます。
第二期は2駅が先行開通、ラッシュアワー時の混雑緩和へ
11号線第二期は全長4.38キロメートル、(現在工事中の红岭南駅を含めると)3駅3区間の路線となり、設計速度は時速120キロメートルです。
今回先行開通したのは「福星」駅と、「华强南」駅の2駅。「红岭南」駅は2025年内に開通予定です。
- 福星
- 华强南(7号線乗換)
- 红岭南(2025年開通予定)
11号線第二期の開通により、ラッシュアワー時の混雑が緩和されます。平日朝のラッシュアワー時は(これまで終点だった)岗厦北駅と福田駅間の列車間の平均間隔が3分56秒に短縮され、輸送能力が40%増加しました。夕方のラッシュアワー時では、列車間の間隔は3分51秒に短縮され、最大125%増加しています。
地域住民の利便性向上にも一役買っています。福星駅が開通する前は、中山大学附属第八医院の最寄駅は1号線の「华强路」駅でしたが、駅から病院までは560メートルほどあり、通院する患者にとってアクセスが良いとは言えませんでした。当路線の開通により新設された福星駅は病院に直結するため医療面での利便性がさらに向上します。加えて当駅は福田中学や周辺住宅地にもより便利な交通手段を提供することになりました。
困難を極めたプロジェクト
当プロジェクトは簡単ではなく様々な課題に直面したようです。福田区のこのエリアは深圳市の中心部に位置しており、古い住宅地があるため建設用地が狭く、建設の組織化が非常に困難でした。
地下では配管網が密集しており、この入り組んだ電力、通信、給水、排水などの複雑な配管が都市の「神経と血管」のように縦横に走っています。ちょっとした不注意が大規模な都市機能の障害を引き起こす可能性があります。加えて地上の厳しい交通規制、高い騒音規制、環境保護要件、頻繁な相互建設といった不利な要因を克服しながら進める必要がありました。
第二期の新型車両は、「深圳车,深圳造」(深圳で製造された深圳の電車)としてもアピールされています。新型車両はグラデーションベルトコーティングを採用し、車両前端には梅の花をモチーフにしたデザインが施されています。
第二期のテーマデザインは「阳光+梦想」
第二期各駅は、11号線第一期のコンセプト「民族腾飞梦」と呼応して、「阳光+梦想」をデザインコンセプトとしています。
福星駅は、直結する病院の暗めな色調による視覚疲労を和らげるため、白と木目調を基調とした暖かみのあるデザインです。天井フレームの輪郭は柔らかな曲線で描かれ、勾配穿孔パネルを組み合わせた大きな「透かし彫り」を採用しています。
華強南駅は、建物の構造をそのまま生かしたシンプルなデザインが特徴です。パイプや照明のレイアウトには、青とピンクのコントラストのある配色が施されています。建物のラインの本来の美しさと工業的な雰囲気を反映しています。
红岭南駅は、中国画からインスピレーションを得たターコイズグリーンを基調とし、天井にはカラフルな「翼」の形が施され、「空港線」の美しさを表現しているのだそう。
11号線第二期は華強北電子街を訪れる方にも朗報です。華強南駅に直結した電子街で部品調達を行い、乗り換えずに空港に向かうことができるためバイヤーにとっても利便性が向上しそうです。2025年内完成を目指して現在拡張工事が進められている深圳宝安空港は国際空港のハブとしてますます利用者が増えるものと予想されますが、11号線は空港ターミナルに直結する唯一の路線として今後も活躍しそうです。
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