2025年、福田区の巨大モールUpperHills(深業上城)に「市内免税店」がオープンします。
加えて、深圳市は外国人旅行者向けの税還付対象ショップリストを400店舗以上公表しました。香港・マカオを含む外国人によるインバウンド消費に拍車がかかりそうです。
目次
中国版消費税「増値税」
中国では商品購入時に「増値税」という税金がかかります。これは日本の消費税のようなもので税率は基本的に13%(一部は9%、6%のものも有り)となっています。
全ての商品ではありませんが、外国人旅行者が商品を購入して自国で使用する場合はこの増値税が免税の対象となります。商品を中国国内の税金還付対象店舗で購入した際は出国時に増値税の還付申請を行うことができます。加えて、深圳市は今回空港の出国エリアにある免税店のような店舗を市内にオープンします。これは「市内免税店」と呼ばれます。
「市内免税店政策改善通知」を公布
中国财政部、商务部、文化和旅游部、海关总署、税务总局は、2024年8月に国務院の同意を得て《关于完善市内免税店政策的通知》(市内免税店政策改善通知)を発布。都市免税店の管理を規範化し、発展を促進することを目的としたこの規定は、10月1日に施行されました。
通知内容の概略は以下の通り
- 広州、成都、深圳、天津、武漢、西安、長沙、福州の8都市にそれぞれ1店舗ずつ市内免税店を新設する。
- 市内免税店の対象顧客は、60日以内に航空機または国際クルーズ船で出国する乗客であること
- 顧客は市内免税店で買い物を行い、出境時の隔離エリアに設置された免税品受け取り場所で免税品を受け取り、まとめて国外に持ち出す。
- 市内免税店では、主に携帯しやすい消費財を販売する。特に国内の流行商品の販売を奨励し、中国の優れた伝統文化の普及に役立つ専門商品や独自のブランド商品の販売も範囲に含める。
深圳市内免税店をUpperHills内に設立、年内オープン予定
2024年に、売上高60億元、顧客数4,600万人超を記録したUpperHills(深业上城)の運営会社「深业集团」は1月6日に、深圳市初の市内免税店を施設内に設置すると発表しました。深业集团、中免集团、深圳免税集团の3社が共同出資を行い、年内にオープンします。
これまでも、北京、上海、青島、大連、厦門、三亜の6都市には市内免税店が存在していましたが、広州や深圳にはありませんでした。今回の通知により、広東省にも市内免税店が誕生します。その場で商品を持ち帰らなくて良いのは助かりますね。
文綿渡口岸で税金還付ブースを運用開始
深圳市内では、口岸での税金還付に関するニュースも報じられています。
2024年12月16日、深圳市は海外旅行客のための新たな税還付措置を提供するため、文锦渡(文綿渡)口岸にて「离境退税」(TAX REFUND)ブースを設置し、税還付の試験運用を開始しました。离境退税エリアは、文锦渡口岸出境審査ビル2階出発ロビー南西の角に位置します。
これまでも、深圳市には宝安国際空港と蛇口フェリーターミナルに「离境退税」地点がありました。陸路で香港に出境する観光客に向けた今回の措置により、深圳の対外貿易および経済協力・交流のさらなる促進につながると期待されています。
深圳市内の税金還付対象店は400店舗を超える
先日、深圳市商務局は税金還付の対象となる最新の「出境税還付対象ショップリスト」を発表。これにより、深圳の出境税還付対象店の総数は409店舗となりました。リストには、小米之家や順電などの電子製品に加えて、バレンシアガ、エルメス、バーバリー、ブルガリ、シャネルなどのファッションブランドも含まれています。また、「集中還付地点リスト」として深圳湾万象城と福田星河COCO Parkが指定されています。こちらのモール内に還付対象ショップが多数入居しています。対象ショップには「退税商店」という記載が店舗内になされているようです。
国家税务总局深圳市税务局:国家税务总局深圳市税务局关于发布第二批境外旅客购物离境退税“即买即退”便利措施试点商店和集中退付点名单的通告
税金還付の条件と免税率
指定の税金還付対象店にて買い物をした際、「增值税普通发票」と「离境退税申请单」を受け取り、口岸の「离境退税」地点にて有効な身分証明書を提示して增值税の還付を申請します。税還付措置を利用できるのは、以下の条件を満たす方です。
- 中国本土に連続して183日を超えて滞在していない外国人(香港・マカオ・台湾含む)
- 深圳市内の离境退税「即买即退」店舗で500元から11万元の商品を購入した人
- 商品が使用または消費されていないこと
- 出境日が商品の購入日から90日以内であること。
免税率について、增值税率13%の商品の免税率は11%です。これに税還付代理機関の手数料2%を差し引くと、実質免税額は9%となります。
深圳市内で2,500元以上の電子製品を購入し、文锦渡口岸で税還付の申請をした香港からの観光客は、230元以上の免税を受けたとメディアの取材に答えています。
深圳の免税EC「深免全球购」
WeChatミニプログラム「深免全球购」では、免税品をオンライン購入することができます。UIはタオバオなどに似ていて親しみやすく、中国国内の住所に免税価格で商品が届けられます。つまり還付申請は不要のようです。
WeChatミニプログラム「i口岸」で税還付情報を解説
WeChatミニプログラム「i口岸」では、出境税還付地点やガイドラインが記載されています。商品の税金還付を検討されている方は参考になさってください。
深圳の出境税還付消費量は4億元超え
2024年、深圳の陸路出入境地点における出入境者数は2億4,000万人を超え、過去最高を記録しました。そのうち中国本土住民の出入境は7,782万件以上(前年比38.3%増)、香港・マカオ・台湾住民の出入境は1億5,600万件以上(前年比48.4%増)、外国人の出入境は554万件以上(前年比89.3%増)でした。
これら入出境者の大幅な増加により、税還付業務が活発化しています。現在、税還付申請者の50%以上が香港・マカオからの旅客と言われています。深圳と香港を頻繁に行き来する旅行者にとって陸路の口岸で税還付可能となる今回の措置は利便性が良く需要も高そうです。
广东华兴银行深圳分行公司银行部の总经理である伍其斌氏によると、2023年の出境税還付商品の売上は3,307万元でしたが、2024年は4億元(約85億円)に達したとのこと。業務量の増加に伴い、旅行者向けの税還付処理に人員を増強するとともに出境税還付に関するビデオやパンフレットを作成するなどインバウンド消費促進のために様々な工夫を進めています。
Source:
ShenzhenDaily:Duty-free store to open in downtown SZ 深圳将设立市内免税店