深セン大学、香港中文大学(深セン)が相次いでAI学部を新設

次々と新しいAI技術が生まれる中国では、AI人材の育成や研究開発に力を注いでいます。

深圳大学はテンセントやDeepSeekと連携して新たな人工知能コースを新設し、香港中文大学(深圳)は新たな「人工知能学院」を設立すると発表しています。いずれも2025年の学期からスタートします。

深圳大学のAIコース

深圳大学では、昨今のAIトレンドを察知して2025年に一連の人工知能コースを創設しました。

全校での共通プラットフォーム授業としてのAIの一般教育からコアとなる専門科目に至るまで、AI時代における人材育成の新しいモデルを探索し、未来の「デジタルネイティブ」を育成することを目指します。

《大学计算机》:全校共通の一般教養科目

全校共通の一般教養科目として提供される当コース。

さまざまな専門背景を持つ学生は、数学や科学のレベルも大きく異なるため、コンピュータ基礎知識とAIの一般知識を結びつけ、最先端でありながら各専攻の特性に基づいて人工知能の一般教養の内容を設計し、各専門分野におけるAI技術の適用特徴を際立たせることが求められています。

当コースは従来の学問の枠を超えて、「元学科」(メタ学科)体系を築くことを目指しています。AIと共生する思考方法を学生に構築させ、AI技術のコア概念を理解するだけでなく、それを専門分野に応用できる能力を身に着けさせます。この授業を通じて、学生はAIの核心技術を理解し、自分の専門に応用する力を養い、将来のキャリアや学問研究の基盤を築くことができます。

また、AI開発の歴史を詳細に説明し、コンピュータ原理、アルゴリズム設計、AIGC(人工知能生成コンテンツ)、データ倫理などの技術モジュールを、社会学やデジタル美学などの人文科学モジュールと統合します。さらに、人工知能時代の倫理問題に特に注目し、学生が対応策を議論し、模索するよう導きます。

文系学生向けには、AIGC補助ツールのプレゼンテーション作成への応用等が追加され、AIGCを使用して作品を完成させ、プロフェッショナルな作品を制作する能力の育成に重点を置いています。理工系学生向けには、Pythonプログラミングの基本スキルを習得し、AIツールを使用してコードの品質を向上させる方法を学習することが求められます。

今後、同コースではDeepSeekをベースとしたコース・実験も導入予定です。

《计算机导论》:テンセント社のプラットフォームを導入した「コンピュータサイエンス入門」コース

当コースは、コンピュータサイエンス専攻の学生のための入門コースとなります。

人工汎用知能(AGI)などの最先端分野をカバーし、データマイニング、機械学習、その他の多くの分野における人工知能の幅広い応用について総合的な理解を得ることができます。理論的知識に加え、AIの最先端技術と産業経験を融合し、特にテンセント社との協力関係を構築しています。テンセント社のAIGC統合ツールである腾讯元宝、元器、CloudStudioなどの実験システムやテンセント社のプラットフォーム「腾讯AI创想家平台」を導入することで、AIアルゴリズムの実装プロセスを体験できます。

当コースでは、計算論の認知上の限界と倫理上のトポロジーに触れ、学生が最初から学際的な思考方法を確立し、AIの観点から現実の問題の解決策を理解するよう導きます。この教育モデルは、従来の「指令—响应」(命令—応答)という機械的な計算の考え方を打破し、感知—推理—创造」(知覚—推論—創造)という新しい認知システムを構築します。

《人工智能实训》:テンセント社「王者荣耀」ゲームを活用したAI強化学習コース

人工知能専攻の必修科目となる当コースでは、従来の(退屈な)理論学習モデルを打ち破り、生活に密着した実習プロジェクトを行います。「コーチングと研究コンテスト」を一体化した授業となり、「実践による学習」を実現します。

当コースは、テンセントの有名ゲーム《王者荣耀》を用いて戦闘データを分析し、強化学習アルゴリズムを使用してAIヒーローを訓練し、運用戦略と損失関数を最適化し、自動戦闘を実現します。

このプロジェクトを通じて、学生たちは強化学習の基本原則を習得するだけでなく、複雑な環境におけるインテリジェントな意思決定システムの設計方法を学ぶことができます。 このモジュールは、テンセントAIオープンプラットフォームの「教、练、研、赛」(教育、訓練、研究、競争)の統合教育システムとなり、2023年には合計140人の学生が学習プロセスに参加しました。

AI赋能计算机:DeepSeek等を活用したカリキュラムの改革

現在、大学ではAIを活用したカリキュラムの改革が行われています。DeepSeekのような先端AI技術を教育環境に取り入れ、国境を越えたイノベーション能力の習得を支援しています。それにより、コースの内容はより先進的になるだけでなく、急速に変化する人材ニーズにも対応できるようになります。

1、机器学习機械学習)

DeepSeekに基づく実験設計、モデル展開の実験ケース設計、教師あり学習、教師なし学習など。

2、计算机安全导论コンピュータセキュリティ入門)

最新の研究成果に焦点を当て、敵対的攻撃、逆引き攻撃、バックドア攻撃などの主要分野をカバー。AIによるパーソナライズされた学習設計により、異なる学生の学習進度やニーズに的確に対応。AIによる仮想実験の支援により、学生の実践能力が強化され、人工知能セキュリティのコア技術をより深く理解し、習得することが可能に。

3、脑与认知科学脳科学と認知科学)

脳科学の研究パラダイムを深く理解し、脳科学の研究成果をニューラルネットワークモデルなどの人工知能アルゴリズムの開発に役立てる方法を学習。人工知能ツールが人間の脳の認知機能の研究を促進できる可能性についても探求。

4、数字电路デジタル回路

AIGC 教授ツールを組み込んだデジタル回路のインテリジェントな教授設計方法を探究。ビデオ生成ツールの助けを借りて、学生は基本回路ユニットの動作原理やその応用シナリオをより直感的に理解することが可能に。

5、软件工程ソフトウェア工学)

学生はAIツールを使用して、ドメイン知識の研究、ソフトウェア要件の理解と管理を行い、ソフトウェア設計とシステムコードを生成し、完成したソフトウェアモジュールのテストケースを設計することが可能に。DeepSeekを活用して高品質なテストケースを生成し、ソフトウェア開発のプロセス全体をよりよく習得する。

6、Web编程ウェブプログラミング

マルチモーダル大言語モデルとRPA(Robotic Process Automation 机器人流程自动化)技術を活用し、「Web OJ」(Online Judge)コースを開発。このコースでは、「首页综合布局」(ホームページ総合レイアウト)、「雨滴特效」(雨滴特殊効果)、「英雄快跑游戏」(ヒーローズランゲーム)などを自動的に評価でき、学生のプログラミングスキルも向上する。

7、计算机伦理コンピュータ倫理

AIGC技術を利用して、プライバシー保護、データセキュリティ、アルゴリズムの公平性、責任の帰属など、人工知能分野における倫理問題を掘り下げる。AIGC技術を利用して「AI答疑助手」(AI Q&Aアシスタント)「数字老师」(デジタル教師)を構築し、学生の人工知能における倫理問題の分析と議論能力を育成する。

8、多媒体系统导论マルチメディアシステム入門

マルチモーダルデータの処理と統合に重点を置き、マルチメディアデータを取得、圧縮、処理、公開する方法や、主流のマルチメディアツールとAIプラットフォームを使用してマルチメディアシステムを設計・実装する方法を習得する。

香港中文大学(深圳)は人工智能学院を設立

2月13日、香港中文大学(深圳)の竜崗区キャンパスで、同校の人工知能学院の設立を発表しました。これにより、同校は8つの学部を持つこととなります。

新設された人工知能学院は2025年9月に初のAI専攻の学生を迎え、人工知能学部の学士課程と修士・博士課程を提供することを計画しています。深セン経済特区の産業優位性を活かし、革新的な世界トップクラスの教育・研究プラットフォームの構築を行い、AI時代に適した包括的な人材育成計画を模索するために、学内の他の学部や学科と協力していく予定です。

人工知能学院は、以下の3つの核心原則を特徴としています。

  1. AI Core:機械学習やインテリジェンス科学などの基礎的なAI技術に重点を置き、学部の学術的枠組みの基盤を形成する。
  2. AI Plus:AIと自然科学、社会科学、芸術、医学などの分野を融合し、学際的な統合を重視することで、従来の学問の枠を超えた最先端の研究を育成する。
  3. AI For:医療、教育、交通などの分野における喫緊の課題など、現実社会の課題解決にAIを応用する。

香港中文大学(深圳)は、人工知能時代に社会変革の主導的役割を果たす優秀な人材を育成することや、人工知能分野の科学研究拠点を作り上げ、世界で最も活力に満ちたイノベーションの源となることなどを目指しています。


Source:

深圳大学:ÀI了!

香港中文大学深圳:人工智能学院成立 助力粤港澳大湾区人工智能发展

ShenzhenDaily:CUHK-Shenzhen sets up AI School 香港中文大学(深圳)成立人工智能学院

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